
血圧の一日の動きとは?日内変動と自律神経の関係・測り方を解説
血圧が一日のなかでどう動いているのか、はっきりと把握できていない方も少なくないのではないでしょうか。
健康診断で指摘されて初めて、自分の血圧を意識したという方も少なくありません。
いつ高くなりやすいのか、どのように測れば正確な数値がわかるのか、疑問に感じている方もいるでしょう。
血圧の変動には自律神経の働きが深く関わっており、仕組みを知ることで日々の対策につなげられます。
本記事では血圧の一日の動きと自律神経との関係を整理し、注意したい時間帯や正しい測り方、変動を抑える生活習慣までご紹介しましょう。
自律神経の乱れは、生活習慣や加齢によっても引き起こされます。まずは自分の血圧がどう動いているのか、知ることから始めてみましょう。
血圧の一日の動きとは?日内変動の基本

血圧の日内変動とは、一日のなかで血圧が自然に上下する変化のことです。数値が一定でないからといって、それだけで異常というわけではありません。
健康な方であっても血圧は一定ではなく、活動状況や心身の状態に応じて変化しています(※1)。
朝に上がり夜に下がるという基本のリズムを知ることが、自分の血圧を理解する第一歩になるでしょう。
特に働く世代は、日々の血圧の変化を見過ごしがちです。まずは基本のリズムを押さえておきましょう。
※1 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/hypertension-2/
起床前後に最高値へ達し夜間に最低値まで下がる
血圧は起床前後から上昇を始め、日中の活動時間帯には高めの状態が続きます。
その後は夕方から夜にかけて徐々に下がり、深い眠りに入る時間帯には最も低い値を示すのが典型的な流れです(※2)。
睡眠中に血圧が下がることは、体を休ませるための自然な仕組みだといえるでしょう。
この変化は加齢や体質によっても、多少の違いが生じます。自分の傾向を知るためにも、日々の記録が役立つでしょう(※3)。
※2 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/hypertension-2/
※3 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
食事や運動などの影響で血圧は変動する
食後は消化・吸収に伴って血行動態が変化し、運動中は心拍数や心拍出量が増加することで血圧も変動します。これらは身体が活動や代謝に適応するための生理的な反応です(※3、4、5)。
そのため、一度の測定値だけで判断するのではなく、毎日同じ条件で測定し、継続的に記録して自分の血圧の傾向を把握することが大切です(※3)。
このように、血圧は時間帯や生活行動の影響を受けながら変動しています。
※3 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
※4 https://www.mhlw.go.jp/content/001195872.pdf
※5 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-22500664/22500664seika.pdf
血圧が高くなりやすい一日の動きの時間帯

血圧は一日のなかでも、特に上がりやすい時間帯があります。その時間帯を知っておくだけでも、日々の過ごし方は変えやすくなります。
自分がいつ注意すべきかを知っておくと、無理な行動を避けやすくなるでしょう。仕事や生活のリズムが変わる場面では、変化が大きくなりやすくなります。
自分の生活パターンと照らし合わせて確認してみましょう。
起床後1時間以内に血圧が急上昇する
目が覚めて体が活動モードに切り替わるとき、血圧は数十分のうちに大きく上がります。
この現象はモーニングサージと呼ばれ、心筋梗塞や脳卒中が起こりやすい時間帯とも重なっています(※6)。
起床直後に急に立ち上がったり寒い場所へ移動したりする動作には、注意が必要だと考えておきましょう。
特に冬場の寒い朝は、寒冷刺激の影響で血圧が普段より上昇しやすくなるため、注意が必要です(※7) 。暖かい室内でゆっくり体を起こすことを心がけましょう。
※6 https://www.jpnsh.jp/files/cms/834_1.pdf
※7 https://www.jpnsh.jp/topics/849.html
通勤や会議が続く日中に血圧が高止まりする

日中は仕事や家事などで活動量が増え、精神的な緊張やストレスの影響も受けやすくなるため、血圧が高めに推移することがあります(※8)。
忙しいビジネスマンほど、こうした時間帯の血圧の動きを意識しておくとよいでしょう。
ストレスが続くと血圧に影響を与えることがあるため、適度に休憩を取り、深呼吸などで心身をリラックスさせることも大切です。
※8 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/hypertension-2/
早朝高血圧と夜間高血圧に注意

血圧の日内変動のなかには、健康上特に注意したいパターンがあります。なかでも代表的なのが、早朝高血圧と夜間高血圧の二つです。
自分の血圧がこれに当てはまらないか、家庭での測定を通じて確かめておきましょう。どちらのパターンも、自覚症状がないまま進行することが少なくありません。
だからこそ、日頃の測定と記録が重要な手がかりになるでしょう。
早朝の家庭血圧が高い状態が続く場合は注意する
起床前後の血圧が高くなるタイプは早朝高血圧と呼ばれています(※6)。
家庭で測った血圧が135/85mmHgを超える状態が続く場合は、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まることが指摘されています(※3)。
診察室での測定だけでは見つけにくく、自宅での継続的な記録が欠かせないでしょう。特に冬場や起床直後の急激な温度変化は、リスクを高める要因になります(※7)。
日頃から朝の数値を記録しておくことが、早期発見につながるでしょう。
※6 https://www.jpnsh.jp/files/cms/834_1.pdf
※3 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
※7 https://www.jpnsh.jp/topics/849.html
夜間に血圧が10%下がらず臓器に負担がかかる

本来であれば、夜間の血圧は日中よりも低くなります。しかし夜間の血圧低下が10%未満にとどまる場合は、心臓や腎臓への負担が大きくなりやすいと考えられています(※9)。
自覚症状がないまま進行することもあり、見過ごされやすい点には気をつけましょう。閉塞性睡眠時無呼吸症候群が背景にあるケースも報告されています(※10)。
いびきや日中の眠気が気になる方は、注意しておきましょう。
※夜間の血圧低下が小さいパターンは、心血管リスクとの関連が指摘されています。評価には医療機関での24時間血圧測定等が必要です
※9 https://www.shiga-med.ac.jp/~hqeiyo/htn2014.pdf
※10 https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf

日内変動を把握するには、家庭での血圧測定を習慣にすることが欠かせません。診察室での一度の測定だけでは、こうしたリズムまでは見えてきません。
正しいタイミングと方法で測ることで、より信頼できる数値を得られるでしょう。数値だけに頼らず、測定した状況もあわせて把握しておくことが大切です。
特別な機器を用意しなくても、市販の家庭用血圧計で対応できます。まずは毎日決まった時間に測ることから始めてみましょう(※3)。
※3 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
起床後1時間以内と就寝前の2回測る
朝の測定は起床後1時間以内、排尿を済ませた後、朝食や服薬の前に行います。夜の測定は就寝前、入浴や飲酒の影響が落ち着いたタイミングで行いましょう。
毎日同じ条件で測ることが、変動を正しく把握するコツになります(※3)。
測定した日時も一緒に記録しておくと、後で振り返りやすくなります。スマートフォンと連動する機器を使うのもよいでしょう(※11)。
※3 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
※11 https://www.jcvrf.jp/general/pdf_arekore/arekore_177.pdf
背もたれに座り1から2分安静にしてから測る

測定するときは椅子に座り、背もたれに寄りかかった状態で1から2分ほど安静にします。 腕の位置は心臓の高さに合わせ、カフを二の腕の正しい位置に巻くことが大切です。
会話をしながらの測定や脚を組んだ姿勢は、数値のばらつきにつながるため避けましょう。
測定機器は上腕で測るタイプを選ぶと、より安定した数値を得られます。カフのサイズが腕に合っているかも、あわせて確認しておきましょう(※11)。
※11 https://www.jcvrf.jp/general/pdf_arekore/arekore_177.pdf
血圧の変動を抑える一日の動きを整える生活習慣

血圧の急な変動を抑えるためには、日々の生活習慣を見直すことも重要です。 特別な運動器具やサプリメントを用意する必要はありません。
無理のない範囲で、できることから取り入れていきましょう。小さな積み重ねが、長期的な血圧の安定につながっていきます。
塩分を1日6g未満に減らす
普段の食事でとる食塩の量が多いと、血圧が上がりやすくなることが知られています(※9)。
汁物を減らす・調味料を計量するといった工夫で、食塩摂取量を1日6g未満に近づけることができます(※3)。
薄味に慣れていくことで、自然と塩分を控えやすくなるでしょう。外食が続くときほど、知らないうちに塩分を摂りすぎてしまいます。
麺類の汁を残すなど、無理のない工夫から始めてみましょう。
※9 https://www.shiga-med.ac.jp/~hqeiyo/htn2014.pdf
※3 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
1日30分のウォーキングで血流を促す

適度な運動は血管の柔軟性を保ち、血流を促す働きが期待されています。
1日30分程度のウォーキングを目安に、無理のない運動習慣を続けることがすすめられています(※3)。
エレベーターではなく階段を使うなど、日常のなかで体を動かす工夫も役立つでしょう。 無理のないペースで、まずは短い時間から始めてみましょう。
※3 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
血圧と睡眠の深い関係

血圧の日内変動は、睡眠の質とも密接に結びついています。眠りを整えることは、血圧を安定させることにもつながるでしょう。
生活リズムを整えることが、血圧と睡眠の両方の安定につながります。日々の過ごし方を、少し見直してみましょう。
睡眠不足は高血圧のリスクと関連する
睡眠時間が不足すると、高血圧の発症リスクが高くなるといわれています(※12)。その結果、本来であれば下がるはずの夜間の血圧が下がりにくくなることがあります(※9)。
睡眠不足が続く生活は、早めに見直しておきましょう。忙しい時期が続くと、睡眠時間はどうしても短くなりがちです。
できる範囲で、睡眠時間の確保を意識しましょう。
※12 https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
※9 https://www.shiga-med.ac.jp/~hqeiyo/htn2014.pdf
深いノンレム睡眠中に血圧が下がり安定する
深いノンレム睡眠では、心拍数や血圧などの生理機能が低下して安定し身体が休息状態になります (※13)。
この時間帯にしっかりと深い眠りを確保できるかどうかが、翌朝の血圧にも影響します。
質のよい睡眠を積み重ねることが、血圧の安定につながっていくでしょう。
就寝前のスマートフォンの使用は、深い眠りを妨げる要因になります(※12)。寝る前の過ごし方を見直すことも、対策のひとつになるでしょう。
※13 https://jssr.jp/basicofsleep2
※12 https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
血圧が気になるときの注意点

家庭での測定を続けていると、数値の変化が気になる場面も出てきます。そのようなときの考え方を知っておくと、落ち着いて対応できるでしょう。
不安を感じたときほど、正しい知識を持っておくことが冷静な判断につながります。落ち着いて、次の一歩を考えていきましょう。
家庭血圧が135/85mmHg以上の日が続いたら受診する
家庭血圧が135/85mmHg以上の日が続く場合は、高血圧が疑われるため医療機関への相談をおすすめします(※3)。
また、頭痛・胸痛・息苦しさなどの症状がある場合や、血圧が著しく高い場合は自己判断で様子を見続けるのではなく速やかに医療機関を受診しましょう(※3)。
日頃の記録があると、診察のときにも状況を伝えやすくなります。測定結果は、そのまま持参するとよいでしょう。
処方された降圧薬を自己判断で中断しない
降圧薬による治療を受けている場合は、自己判断で服薬を中断しないようにしましょう。
自己判断で服薬を中断すると、血圧のコントロールが悪化する可能性があります(※3)。
数値が落ち着いてきたと感じても、必ず医師に相談したうえで対応してください。 薬の効果や体調の変化は、個人差があります。
気になる症状があれば、遠慮せずに医師へ伝えましょう。
※3 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
血圧が気になる方が見直したい生活習慣

血圧と睡眠は互いに影響し合うため、どちらか一方だけでなく両方を支える視点が役立ちます(※12)。
食事や運動、睡眠といった生活の土台を整えることが、内側からのケアの基本です。続けやすい方法を選ぶことが、習慣化への近道になるでしょう。
小さな習慣の積み重ねが、体の内側からのケアにつながっていきます。無理のない方法を、自分のペースで見つけていきましょう。
※12 https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
発酵食品を毎日の食事に加える
GABAは、みそやしょうゆなどの発酵食品にも含まれるアミノ酸の一種です。
血圧が高めの方に適した機能性表示食品の関与成分としても知られており、日常の食事に取り入れてみましょう。
納豆や漬物といった身近な発酵食品にも、GABAは含まれています。普段の食事に少しずつ取り入れてみるのもよいでしょう。
※ 一部の機能性表示食品では、GABAについて血圧に関する機能が届け出られています。機能は届出商品を届出どおり摂取した場合のもので、一般的な発酵食品に同様の機能があることを示すものではありません。
食生活全体を見直す 一杯を朝か夜に習慣化する
忙しい毎日のなかでは、手間のかからない習慣ほど続けやすいとされています。
例えば、GABAは、納豆や味噌などの発酵食品に含まれており、普段の食生活に取り入れやすくなっています。
特別なことを始めるのではなく、生活のなかに無理なく組み込める習慣として選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。自分の生活リズムに合わせて、取り入れるタイミングを選びましょう。
一日の動きを意識して血圧を整えよう

ここまで、血圧の一日の動きと自律神経の関係、注意したい時間帯や正しい測り方について解説してきました。
血圧は一日のなかで自然に上下しており、その動きは自律神経の働きと密接に結びついています。
朝の急上昇(早朝高血圧)や夜間の血圧低下が十分でない状態(夜間高血圧)は、脳心血管疾患や標的臓器障害のリスクと関連することが知られています(※6、9) 。
家庭での血圧測定を習慣にし、日内変動のパターンを把握しておくことが、健康管理の第一歩になるでしょう。
あわせて、塩分を控えた食事や適度な運動、質のよい睡眠といった生活習慣を整えることも欠かせません。
本記事で紹介した内容は、どれも今日から始められるものばかりです。できることから少しずつ、無理のない方法で取り組んでみてください。
気になる変化があれば、早めに医療機関へ相談しながら、自分のペースで血圧と向き合っていきましょう。
※6 https://www.jpnsh.jp/files/cms/834_1.pdf
※9https://www.shiga-med.ac.jp/~hqeiyo/htn2014.pdf
参考文献
日本高血圧学会|高血圧治療ガイドライン2019(一般向け解説)
全国健康保険協会|血圧の正しい測り方
日本高血圧学会|早朝高血圧と夜間高血圧
国立循環器病研究センター|高血圧
厚生労働省|健康づくりのための睡眠ガイド2023
