
寝る前におすすめの飲み物は?睡眠の質を高めるものの選び方や飲み方、避けたい飲み物も解説
就寝前に何か飲む習慣があると、眠りを妨げにくい飲み物はどれなのか、迷ってしまう方も少なくありません。白湯や牛乳、ノンカフェインのハーブティーなど選択肢が並ぶほど、何をどのくらい飲めばよいのかわかりにくくなるでしょう。
寝る前の飲み物は名前で決めるのではなく、含まれる成分と飲む量から考えると、迷わずに判断できるようになります。
この記事では、飲み物の選び方と取り入れやすい種類・避けたい飲み物・量とタイミング・睡眠との関係・相談の目安まで解説します。厚生労働省などの公的機関の資料をもとにまとめているので、今夜からの1杯選びと夜の過ごし方にお役立てください。
寝る前の飲み物はどう選ぶ?

夜に飲むものを選ぶときは、まず含まれる成分と量を確かめておくと、候補をすばやく絞り込めるようになります。特に気をつけたいのは、覚醒作用をもつカフェインと眠りの後半に影響するアルコール、そしてエネルギー源になる糖分の3つです。
いずれも飲む量と時刻によって夜の眠りへの響き方が変わるため、飲み方を見直すことも夜の過ごし方を整える方法の1つです。ここでは、寝る前の飲み物を選ぶときに押さえておきたい基準を、成分と量という2つの側面から見ていきましょう。
カフェインやアルコールを含まないものを選ぶ
就寝前に飲むものは、カフェインとアルコールを含まない飲み物を基本にすると、種類選びで迷わなくなります。カフェインには覚醒作用があり、厚生労働省の資料でも、夕方以降の摂取は夜間の睡眠に影響しやすいと示されています。(※1)
アルコールは寝つきを促すように感じても眠りの後半に影響するため、寝る前の選択肢からは外しておくほうが無難です。置き換え先としては、茶葉を使っていない麦茶・そば茶・黒豆茶・とうもろこし茶・カフェインを含まないハーブティーが挙げられています。
※1
糖分が多すぎない飲み物を選ぶ
夜に飲むものは、無糖か甘味の少ないものを基本にしておくと、就寝前の体にかかる負担を抑えやすくなるでしょう。甘い飲み物は夜食や間食と同じ扱いになり、厚生労働省の資料でも就寝前の夜食は体内時計を後退させ、翌朝の睡眠休養感を下げると示されています。(※2)
白湯や麦茶であっても、砂糖やはちみつを加えると糖分が増えるため、甘さを足すなら少量にとどめてください。どうしても甘い味が欲しいときは、飲む量を減らすか日中に回すという調整で、無理なく習慣を変えられます。
※2
寝る前に取り入れやすい飲み物

準備に手間のかからない飲み物から試していくと、就寝前の習慣として無理なく定着し、長く続けやすくなります。カフェインと糖分を避けるという基準で候補を絞り込むと、夜に選びたい飲み物は思っているよりも見つけやすいでしょう。
大切なのはめずらしい飲み物を探すことではなく、手元にあるもので夜の1杯を組み立てていく工夫といえます。ここでは、就寝前に取り入れやすい4種類の飲み物について、それぞれの特徴と向き合い方を見ていきましょう。
白湯
白湯は水をいったん沸かして飲みやすい温度まで冷ましたもので、カフェインも糖分も含まないため夜の水分補給に向いています。特別な材料や準備がいらず、味の好みにも左右されにくいので、毎日の習慣として無理なく長く続けやすい飲み物です。
国土交通省の資料では、就寝の前後や入浴の前後は体の水分が不足しやすい時間帯として、こまめな補給がすすめられています。(※3)
ただし飲む量が増えると夜間の排尿につながるため、コップ1杯程度を目安にして、やけどしない温度まで冷ましてから飲みましょう。
※3
ホットミルク
牛乳はカフェインを含まないうえに温めてゆっくり飲めるため、就寝前の1杯として選ばれることも少なくありません。ただしエネルギーを含む飲み物のため、飲む量が増えるほど夜食に近づいてしまい、体内時計への影響が気がかりになってきます。
夜に飲むならマグカップ1杯までにとどめ、たんぱく質やカルシウムは日中の食事から摂るという組み立てが、無理のない方法になります。牛乳や乳製品でお腹の不調が出る方は無理に続けず、白湯やノンカフェインの飲み物へ早めに切り替えるようにしてください。
ノンカフェインのハーブティー

ノンカフェインのハーブティーは、香りと温かさをゆっくり味わえるため、就寝前の時間になじみやすい飲み物です。カモミールやルイボスをはじめ種類が幅広く、好みに合わせて選べるので、飽きずに長く続けやすくなります。
ハーブティーという名前でも、紅茶やマテ茶をブレンドした製品にはカフェインが含まれる場合があるため、原材料表示の確認を習慣にしてください。妊娠中や授乳中の方は、ハーブの種類によって摂取を控えたほうがよい場合もあるので、医師や薬剤師に相談してみてください。
カフェインレス・デカフェの飲み物
カフェインレスやデカフェとは、コーヒーや紅茶の風味を残したまま、カフェインを取り除いたり減らしたりした製品です。農林水産省は、カフェインの摂取量を少なくしたい方にとって、こうした製品を利用することも選択肢の1つになると示しています。(※4)
夜だけカフェインレスへ切り替える使い方であれば、朝や日中の楽しみを手放さずに、夕方以降の摂取量だけを抑えられます。カフェインがまったく含まれないとは限らないため、パッケージの表示で含有量の記載を確かめてから選ぶようにしてください。
※4
寝る前の飲み物を選ぶときのポイント

同じ種類の飲み物であっても、製品の違いや淹れ方によって、含まれるカフェインの量は大きく変わってきます。体質や体調による感じ方の差も小さくないため、目安となる数値と自分の感覚を合わせて判断する進め方が向いています。
おおよその数値を知っておくと、夜に飲むかどうか迷ったときの手がかりとして役立てられるようになるでしょう。ここでは、寝る前の飲み物に迷ったときの判断材料となる2つのポイントについて、1つずつ順番に見ていきます。
カフェインの有無や含有量を確認する
農林水産省の資料によると、同じお茶やコーヒーでも製品や淹れ方によってカフェインの量に差が出るため、代表的な飲み物の含有量を確かめておきましょう。
カップ1杯や1本あたりに直すと差はさらに広がり、玉露やエナジードリンクはコーヒーを上回る場合もあります。
海外の機関は健康な成人で1日400mgまでを上限の目安としており、夜の1杯だけでなく1日の合計量で考えてください。(※5)夕方以降の分だけでも、カフェインを含まない飲み物へ置き換えておくと、1日の合計量を抑えやすくなります。
※5
自分の体調や好みに合わせて選ぶ
カフェインの代謝には個人差があり、日本人の血中半減期は3〜7時間とばらつきがあることも資料に示されています。(※6)同じ時刻に同じ量を飲んでも影響の出方は違ってくるので、夜に響くと感じた方は切り上げる時刻を早めてみてください。
高齢の方は加齢に伴って代謝能力が下がるため、少量のカフェインであっても睡眠に影響する可能性があると報告されています。妊娠中の方はできる限り摂取を控えることがすすめられているので、自分の立場に適した量へ調整してください。
※6
寝る前に避けたい飲み物

眠りを妨げにくい飲み物を選ぶのと同時に、夜に減らしたい飲み物を知っておくと、迷ったときの判断が早くなります。避けたい理由は成分ごとに違うため、理由まで知っておくと自分の生活に合わせて調整しやすくなるでしょう。
いきなりやめてしまうのではなく、夜の分だけ別の飲み物へ置き換えるところから始めると続けやすくなります。ここでは、就寝前に控えたい3つの飲み物について、避けたほうがよい理由もあわせて順に見ていきましょう。
コーヒーやエナジードリンクなどカフェインを多く含む飲み物
厚生労働省の資料によると、カフェインの摂取量が107mgを超えた場合、就寝の約9時間前であっても夜間の睡眠に影響すると示されています。(※7)摂取量が217.5mgを超える場合には、約13時間前に飲んだカフェインでも夜の睡眠に影響すると考えておきましょう。
エナジードリンクには1本で50〜170mgのカフェインを含む製品もあるため、製品によっては夕方の1本が夜の睡眠に影響するおそれもあります。(※8)眠気覚ましとして毎日飲む習慣がある方は、まず午後の早い時間までに切り上げるという工夫から試してみてください。
※7
※8
アルコール

寝つきをよくする目的でお酒を飲むいわゆる寝酒は、よい睡眠のためにはすすめられていない飲み方といえます。アルコールは一時的に寝つきを促すものの、睡眠後半の眠りの質を悪化させ、飲酒量が増えるほど中途覚醒の回数も増えていきます。(※9)
連用することで耐性や依存を形成し、飲まないと眠れない状態に至る可能性も指摘されているため、習慣化には注意してください。国土交通省の資料でも、アルコールは尿の量を増やして体内の水分を排出するため、水分補給には適さないと示されています。(※10)
※9
※10
糖分を多く含む飲み物
甘い清涼飲料水やカフェオレ、加糖の乳酸菌飲料などは、糖分を多く含むため就寝前には向かない飲み物です。厚生労働省の資料では、夜食や間食の摂りすぎが続いた場合に、糖尿病や肥満につながっていくと示されています。(※11)さらに閉塞性睡眠時無呼吸の発症リスクを高めるおそれもあるため、夜の習慣として続けないよう気を付けてください。
コーラタイプの飲料のように、カフェインと糖分を同時に含む製品もあるため、購入前に原材料や成分の表示を確かめましょう。甘い飲み物を楽しむのであれば日中の時間帯に回し、夜は無糖の飲み物へ置き換えていくことが現実的といえます。
※11
寝る前に飲む量とタイミング

飲み物の種類を整えたとしても、飲む量と時刻が合っていなければ、夜中に目が覚める原因になりかねません。水分は不足しても摂りすぎても体の負担になるため、1日のなかでの配分をあらかじめ考えておく必要があります。
夕方から就寝までの数時間を1つのまとまりとして考えると、飲む量とタイミングの調整がしやすくなるでしょう。ここでは、就寝前に飲む量と時間の考え方について、夜間のトイレへの対策とあわせて1つずつ見ていきます。
夜間のトイレを防ぐため飲み過ぎない
夜中に何度もトイレで目が覚めてしまうと睡眠が分断され、翌朝に感じる休養感も大きく下がりやすくなります。就寝前に飲む量は、喉の渇きを癒やす程度のコップ1杯ほどを目安にしておくと、調整もしやすくなるでしょう。
厚生労働省の資料では、日中に摂った食塩の過剰分が睡眠中に排泄されるため、夜間の排尿回数に関係すると示されています。(※12)夜間のトイレが気になっている方は、飲む量だけでなく毎日の食事に含まれる塩分も合わせて見直してみてください。
※12
就寝直前の大量の水分摂取を避ける

国土交通省の資料では、のどの渇きは脱水が始まっている合図であり、渇きを感じる前に水分を摂ることが大切だと示されています。(※13)
大切なのは水分を控えることではなく、就寝の直前に一度にまとめて飲まず、夕方から少しずつ分けて摂るという配分の工夫です。夕方から就寝までの水分の摂り方は、次の4つを目安として決めておくと、飲む量の調整がしやすくなります。
夕食のときにコップ1杯を飲み、食後は少しずつ口に含む
入浴の前後にそれぞれコップ1杯を飲み、汗で失った分を補う
就寝の直前は喉を潤す程度にとどめ、一度に飲み干さない
カフェイン飲料やお酒は尿を増やすため、水分補給として数えない
この4つの目安に沿って調整しておけば、夜間の排尿を増やしすぎることなく、必要な水分も無理なく保てます。寝る前に補う水分は、水や白湯を基本にしておくと、1日でどれだけ飲んだのかも把握しやすくなるでしょう。
※13
寝る前の飲み物と睡眠の質の関係

寝る前の飲み物への期待が大きいほど、思ったような変化を感じられないときの落胆も大きくなってしまいます。睡眠は食事や飲み物だけでなく、光・体温・運動・日中のストレスなど複数の要素が重なって決まるものだからです。
飲み物にできることとできないことを分けて考えておくと、夜の1杯との適切な距離感がつかみやすくなります。ここでは、寝る前の飲み物が睡眠に対して果たす役割と限界について、公的な資料をもとに見ていきましょう。
特定の飲み物だけで睡眠の質が高まるとは限らない
厚生労働省の資料では、睡眠の質の改善に直接寄与する個別の食品や成分は、現在のところ特定されていないと示されています。(※14)そのうえで主食・主菜・副菜を中心に、さまざまな食品をバランスよく取り入れる食事を続けていく方法がすすめられています。
夜の飲み物に期待したいのは、眠りそのものを底上げする働きではなく、眠りの妨げになる要素を減らしていく役割です。就寝前の体にかかる負担を考えるなら、カフェインやアルコール、糖分を控えることも1つの方法といえます。
※14
温かい飲み物はリラックスタイムに取り入れやすい
厚生労働省の資料によれば、スムーズに入眠するためには、脳の興奮を鎮めてリラックスした状態をつくることが大切だと示されています。(※15)寝床に就く前の少なくとも1時間は、家事や仕事に追われずにリラックスして過ごす時間を確保してみてください。
温かい飲み物をゆっくり味わう時間を、1日の区切りとして夜のくつろぎの習慣にするのも1つの方法といえます。ただしリラックス法の効き方は一人ひとりで異なるため、温かい飲み物にこだわりすぎず自分に適した方法を探していきましょう。
※15
飲み物以外で睡眠の質を整える方法

飲み物を見直したあとは、朝に浴びる光や体温、運動といった日中からの生活習慣もあわせて見直してみましょう。厚生労働省の資料では、成人はおおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間とされ、6時間以上の確保がすすめられています。(※16)
そのうえで、睡眠休養感を高めるための方法として、次のような生活習慣が参考情報のなかに挙げられています。
起床後はカーテンを開けて朝日を浴び、日中もできるだけ日光を浴びる
就寝の約2時間前からは強い光を避け、寝室をできるだけ暗くして眠る
就寝の約1〜2時間前に入浴し、体を温めてから寝床に入る
運動は就寝の約2〜4時間前までに終え、寝る直前の激しい運動は控える
朝食をしっかり摂り、就寝の直前になる夜食や間食は控える
食塩の摂りすぎを避け、夜間にトイレで目覚める回数を減らす
これらはいずれも、朝と夜の体内時計のリズムを整えたり、寝つきやすい体温の変化を助けたりする習慣です。夜だけに気を配るよりも、朝と日中の過ごし方まで含めて見直していくほうが、結果として続けやすくなります。
就寝前に寝室へスマートフォンやタブレット端末を持ち込まないという工夫も、よい睡眠につながる習慣の1つです。どれも一度にすべてを変える必要はないので、まずは自分が取り組みやすいものから1つずつ試してみてください。
※16
飲み物を見直しても眠れない場合の対処法と相談の目安

飲み物や寝る前の習慣を整えていても、どうしても眠れない夜は誰にでもあるため、焦らずに対処していきましょう。厚生労働省の資料では、眠気がないのに無理に眠ろうとすると、脳の興奮が高まり寝つきが悪化すると示されています。
寝つけないときはいったん寝床を離れ、暗めの静かな場所で過ごし、眠気が訪れてから寝床へ戻るようにしてください。同じ資料でも、対策を実践しても症状が改善しない場合は、速やかに医師へ相談することがすすめられています。(※17)
次のような状態が続いているときは、セルフケアだけで様子を見ずに、早めに医療機関へ相談してみましょう。
寝つけない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚める状態が長く続いている
日中の倦怠感や集中力の低下で、仕事や家事に支障が出ている
いびきや睡眠中の呼吸停止を家族から指摘された
十分に眠ったはずの朝でも、休まった感覚が得られない
お酒を飲まないと眠れず、飲む量が増えてきた
背景に不眠症や閉塞性睡眠時無呼吸が隠れている場合もあるため、早めに受診することで適切な対処につなげやすくなります。
※17
寝る前はカフェインや飲む量に注意して飲み物を選ぼう

寝る前の飲み物は、カフェイン・アルコール・糖分を控えたうえで、飲む量も抑える選び方が基本になります。白湯・麦茶・カフェインを含まないハーブティー・カフェインレスの飲み物であれば、夜でも無理なく取り入れやすいでしょう。
カフェインは夕方以降の1杯だけでなく1日の合計量にも目を向け、製品の表示で含有量を確かめてください。飲み物だけで眠りが決まるとは限らないため、光・入浴・運動・朝食といった生活習慣とあわせて整えていきましょう。
症状が続いて日中の生活に支障が出ているときは、我慢せずに医療機関へ相談するという選択も大切になります。夜の過ごし方を見直す第一歩として、まずは今夜の1杯を選び直すところから始めてみてはいかがでしょうか。
