
免疫機能を支える運動とは?おすすめの有酸素運動や続けるコツ、注意点を解説
適度な運動は健康維持に欠かせない習慣ですが、近年では免疫機能を支える生活習慣の一つとしても注目されています。
一方で、激しすぎる運動は、かえって体に負担をかける恐れがあります。
免疫機能をサポートするためには、自分の体力に合った適度な運動を無理なく続けることが大切です。
本記事では、免疫力と運動の関係をはじめ、おすすめの有酸素運動や続けるコツなどを解説します。
健康的な毎日を送りたい方は、ぜひ参考にしてください。
免疫力と運動の関係

体には私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵から体を守る免疫システムが備わっています。
免疫システムは、自然免疫システムと獲得免疫システムの2つから成り立ちます。
自然免疫システムとは、病原体が体のなかに入ってきた際に反応して病原体を攻撃する仕組みです。
一方の獲得免疫システムとは、侵入した病原体の情報を記憶し、再び侵入された際に対応して排除する仕組みです。(※1)
免疫力は医学的に一義的に測定できる用語ではありません。免疫機能は、自然免疫と獲得免疫など複数の仕組みによって成り立っています。
特に運動は体の巡りをよくし、健康な状態を維持するために重要な習慣です。
適度な有酸素運動を継続することで血液循環が促され、適度な身体活動は健康維持や体力の維持に役立ちます。免疫機能への影響は、運動の種類、強度、時間、体調などによって異なります。
また、運動によってストレスが軽減されたり睡眠の質が向上したりすることも免疫システムを正常に保つうえで重要なポイントです。
ただし、運動のみで免疫力が劇的に高まるわけではありません。適度な運動を継続し、栄養バランスのよい食事や十分な休養と組み合わせることが重要です。
※1
運動が免疫機能を支えるとされる理由

解説したように、免疫機能を支えるには運動が効果的とされています。
ここでは、運動が効果的とされる具体的な理由を3つ解説します。
血流や体温維持をサポートする
運動が効果的とされる1つ目の理由は、血流や体温維持をサポートするためです。
体を動かすと心拍数が上がり、全身を血液が巡りやすくなります。体を動かすと、心拍数が上がり全身の血流が促進されます。
血液には酸素や栄養素だけでなく、白血球などの免疫細胞も含まれています。また、運動によって体温が適度に上昇することも、健康的な体の状態を維持することにつながります。
軽いウォーキングでも身体活動量を増やすきっかけになるため 、特に日頃から運動不足の方は意識してみてください。
気分転換やストレスケアに役立つ

運動が効果的とされる2つ目の理由は、自律神経やストレスケアに役立つためです。
ストレスが長期間続くと、交感神経が活性化し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。交感神経とは、体の活動を活発化させる神経で、ストレスや緊張時に優位になります。
自律神経のバランスが乱れて強いストレスが長期間続くと、睡眠や食欲など健康状態に影響する場合があります。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動には気分転換の効果が期待されており、ストレスの軽減に役立つとされています。
また、運動によって心身がリフレッシュされることで気分を切り替えやすくなり健康維持につながります。
睡眠の質を整えることにつながる
運動が効果的とされる3つ目の理由は、睡眠の質を整えることにつながるためです。
睡眠は、免疫機能を維持するために欠かせない時間です。
睡眠不足が続いたり睡眠の質が低下したりすると、体の生理機能が低下することが知られています。(※2)
そこで日中に適度な運動を行うことで、自然な眠気が得られやすくなり、寝つきや睡眠の質の改善が期待できます。
運動と十分な睡眠を組み合わせることが健康維持のポイントです。
※2
免疫機能を意識する方におすすめの有酸素運動

健康維持や運動不足の解消を目指す方には、ウォーキングなどの有酸素運動が取り入れやすいでしょう
ここでは、免疫力向上を目指す方におすすめの有酸素運動を3つ解説します。
ウォーキング
免疫力向上を目指す方におすすめの有酸素運動1つ目は、ウォーキングです。
ウォーキングは始めやすい有酸素運動の一つとして知られています。特別な道具が必要なく、自分の体力に合わせて運動量を調整可能です。
運動の強度を示す指標としてメッツ(METs) が有名ですが、普通歩行は3メッツに相当します。(※4)
3メッツ程度の運動なら、普段身体を動かしていない方でも気軽に始められます。
1日20〜30分程度を目安に、少し息が弾む程度の速さで歩くと無理なく続けやすいでしょう。
軽いジョギング・サイクリング

免疫力向上を目指す方におすすめの有酸素運動2つ目は、軽いジョギングやサイクリングです。
ゆっくりとしたジョギングは6.0メッツ、サイクリング(約20km/時)は8.0メッツに該当します。(※4)
ウォーキングと比較すると運動強度が高いため、体力に余裕がある方や運動に慣れてきた方に適しています。
会話ができる程度の強度で行うことがポイントです。景色を楽しみながら取り組めるため、ストレス解消にも役立ちます。
水泳・水中ウォーキング
免疫力向上を目指す方におすすめの有酸素運動3つ目は、水泳や水中ウォーキングです。
水泳は泳ぎ方や速度によって運動強度が大きく異なります。例えば、ゆっくりとした平泳ぎなら5.3メッツ、速いクロールなら10.0メッツです。(※3)
水中では浮力によって関節への負担が少ないため、高齢者や膝への負担が気になる方にも適しています。
全身をバランスよく使える運動であり、心肺機能の維持にも役立ちます。夏場でも取り組みやすい有酸素運動の一つです。
※3
日常生活に取り入れやすい軽い運動

「わざわざ運動をする時間がない」「家から一歩も出たくない」と感じる方もいるはずです。
運動が長続きしない方には、自宅でも手軽にできる軽い動作やストレッチをおすすめします。
ここでは、日常生活に取り入れやすい軽い運動を2つ解説します。
階段の上り下りを増やす
エレベーターやエスカレーターではなく、階段を利用するだけでも運動量を増やせます。
日々の積み重ねが運動不足の解消につながり、忙しい方でも取り組みやすい方法です。
厚生労働省では、職員の健康づくりと地球温暖化対策の観点から、庁舎内の移動に階段利用を促進するキャンペーンを実施しています。(※4)
家から一歩も出たくない日は、自宅の階段を上り下りするだけでも問題ありません。
※4
家事や仕事の合間にストレッチを行う
家事の合間や仕事の休憩時間を活用すると、無理なく運動習慣を作れます。
長時間座り続けると血流が悪くなりやすいため、1時間に1回程度は立ち上がって体を動かしましょう。
肩や首などをゆっくり伸ばすストレッチは、筋肉の緊張を和らげ、気分転換にも役立ちます。
運動を無理なく続けるコツ

運動を始めても、長続きせずに悩んでいる方も多いでしょう。健康維持のためには、体力に合った運動を無理なく継続することが大切です
ここでは、免疫力を高める運動を続けるコツを3つ解説します。
好きな運動を選ぶ
運動は継続することが何より重要です。苦手な運動を無理に続けようとしても、多くの方が挫折してしまいます。
苦手意識のある運動よりも、散歩やダンスなど自分が楽しめる運動を選びましょう。「またやりたい」と思える運動を選ぶと、無理なく習慣化しやすくなります。
家族や友人と一緒に取り組む
一人では続けにくい場合でも、家族や友人と一緒なら継続できる確率が上がります。
挫折しそうな時もお互いに励まし合えるため、モチベーションの維持にもつながります。
もちろん毎日ではなくても構いません。休日にウォーキングを楽しんだり、一緒にスポーツをしたりするのもおすすめです。
毎日決まった時間に行う

運動を継続しにくい方は、毎日決まった時間に行うことをおすすめします。運動する時間が決まっていないと、運動を習慣化しにくいためです。
食事、歯磨き、入浴などの時間は大体決まっている方が多いのではないでしょうか。
運動も同様に「朝食後に20分歩く」「夕食前にストレッチをする」などと決めてしまいます。
スケジュールを決めることで、食事や入浴などと同様に、運動習慣を自然と生活リズムに組み込めます。
運動を行う際の注意点

運動は免疫力を高めるために効果的ですが、無理に行うと体調を崩す恐れがあります。
健康的に運動を行うために、これから紹介する3つの注意点を意識しましょう。
体調が悪い日は無理をしない
体調が悪い日は運動を控え、十分に休養を取りましょう。体調が悪いときに無理をして運動をしても、体調が悪化したら本末転倒です 。
運動を中止する基準は、発熱や強い疲労感、息切れなどの症状があるときです。十分に休養を取り、体調が回復してから再開しましょう。
運動前後に水分補給をする
運動前後や運動中には、必ず水分補給を行いましょう。汗によって体内の水分が失われ、脱水症状を起こす恐れがあるためです。
水分補給は熱中症対策においても重要です。夏場の運動では、特に意識して水分補給を行う必要があります。
健康のため水を飲もう推進運動では運動中には水を飲まないなどの誤った常識をなくし、正しい健康情報を普及することが掲げられています。(※5)
持病がある場合は医師に相談する
心疾患や高血圧などの持病がある方は、運動を始める前に必ず医師へ相談しましょう。
自分の体調に合った運動内容や運動量を確認することで安心して取り組めます。
運動量をめぐるよくある誤解

免疫力を上げたいからといって、激しい筋力トレーニングや長時間のランニングを行えばよいわけではありません。
高強度・長時間の激しい運動では、運動後に一部の免疫指標が一時的に変化することが報告されています。影響は運動条件や個人の状態によって異なります (※6)
重要なのは、無理のない強度で継続することです。
適度な有酸素運動を日常生活に取り入れ、十分な休養と組み合わせることが健康維持につながります。
※6
運動以外で免疫機能を支える生活習慣

運動は免疫機能を維持するために役立つ生活習慣の一つですが、それだけでは十分ではありません。
免疫機能は、睡眠や食事などさまざまな要素が相互に影響し合って維持されています。
ここでは、運動以外で免疫機能を支える生活習慣を2つ解説します。
十分な睡眠時間と睡眠の質を意識する
睡眠は体や脳を休ませるだけでなく、健康維持に欠かせない時間です。
睡眠中は体の修復や疲労回復が進み、免疫細胞の働きにも関わるさまざまな生理機能が活発になります。
そのため、慢性的な睡眠不足は体調を崩しやすくなる原因の一つと考えられています。
睡眠時間には個人差がありますが、多くの成人では6時間以上を目安に、自分に合った睡眠時間を確保することが重要です。(※7)
また、睡眠時間だけでなく睡眠の質を高める必要もあります。次のような習慣を意識すると、よりよい睡眠につながります。
毎日できるだけ同じ時間に寝起きする
朝起きたら日光を浴びる
寝る2〜3時間前までに夕食を済ませる
就寝前のカフェインやアルコールを控える
就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控える
寝室を暗く静かな環境に整える
運動を日中に行うことも自然な眠気につながるため、睡眠と運動は相性のよい組み合わせといえるでしょう。
※7
栄養バランスのよい食事と水分補給を心がける
免疫機能を正常に維持するためには、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することが欠かせません。
特定の食品のみを多く食べても十分ではなく、主食・主菜・副菜を基本とした食事を心がける必要があります。
健康維持には、腸内環境を整えることも重要です。
ヨーグルトや味噌などの発酵食品、野菜、海藻類など、さまざまな食品を取り入れ、栄養バランスのよい食事を心がけましょう
さらに、水分補給も忘れてはいけません。体内の水分が不足すると血液が濃くなり、全身への酸素や栄養素の運搬にも影響を及ぼします。
特に運動をした日や気温の高い季節は汗によって水分が失われやすいため、喉が渇く前からこまめに水やお茶などで水分補給を行いましょう。
一度に大量に飲むのではなく、1日を通して少しずつ補給することがポイントです。
運動とあわせて睡眠やストレス対策も見直そう

免疫機能を健やかに保つためには、適度な運動を継続することが重要です。
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、血流や体温維持をサポートし、ストレスの軽減や睡眠の質の向上にも役立つとされています。
しかし、運動のみで健康な体を維持できるわけではありません。食事や睡眠などの生活習慣を総合的に見直すことが重要です。
免疫機能は一朝一夕で変化するものではありません。毎日の小さな積み重ねが、健康的な体づくりにつながります。
