
60代女性が疲れやすいのはなぜ?原因と睡眠から整える改善法を解説
「以前と同じように過ごしているつもりなのに、なぜか疲れが抜けにくい」と感じることはありませんか。60代になってから、そう感じる女性は少なくありません。
年齢を重ねることで、体の内側ではさまざまな変化が少しずつ起こっており、それが疲れやすさにつながっている場合があります。
本記事では、60代で疲れやすくなる主な原因を整理したうえで、今日からできる対処法や、運動・食事・睡眠を通じて疲れにくい体をつくる工夫を順にご紹介します。
読み進めることで、ご自身の生活に取り入れやすい方法がきっと見つかり、疲れにくい体づくりへの一歩を踏み出せるはずです。
60代で疲れやすくなる主な原因

60代になると、「以前より疲れが取れない」「少し動いただけで疲れる」と感じる方は少なくありません。この疲れやすさには、いくつかの要因が関わっていると考えられています。
ここでは、特に影響が大きいとされる基礎代謝の変化や睡眠に着目して見ていきましょう。
筋肉量が減り基礎代謝が落ちる
私たちの体は、年齢を重ねるとともに筋肉量が少しずつ減少していく傾向があります。筋肉が減ると、安静にしているときでも消費されるエネルギー量の基礎代謝が低下しやすくなるといわれています。(※1)
基礎代謝が落ちると、以前と同じ動作をしていても体への負担が大きく感じられやすくなり、疲れを覚えやすいです。特に太ももやお尻まわりなど下半身の筋肉は加齢の影響を受けやすい部位とされており、歩行や階段の上り下りといった日常的な動作のなかで疲労感を覚えやすくなるケースも見られます。
また、筋肉量が減ると活動後の回復にも時間がかかりやすくなり、疲れが翌日まで残ると感じる方もいます。こうした変化は、加齢に伴ってみられる自然な変化の一つです。
<h3>加齢で深い睡眠が減り夜中に目が覚める</h3>睡眠には、体をしっかり休めるための深い眠りと、浅い眠りが交互に訪れるリズムがあります。加齢に伴い、この深い眠りの時間が短くなる傾向があります。(※2)
深い眠りが減ると、夜中に目が覚めやすくなったり、眠りそのものが浅く感じられることも少なくありません。その結果、睡眠時間自体は確保できていても、体の回復が十分に追いつかないまま朝を迎えることも考えられます。
こうした変化は、体質や生活習慣だけが原因とは限らず、加齢に伴う自然な変化として起こることもあります。原因を理解しておくと、必要以上に不安を感じずに向き合いやすくなるでしょう。※2https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-suimin/koreisha-suimin.html
疲れがたまっているときのサイン

「最近疲れやすいけれど、年齢のせいなのか、それとも疲れがたまっているサインなのか」と気になる方もいるでしょう。疲れは気付かないうちに蓄積することもあります。
ここでは、体や気力に表れやすいサインをご紹介します。
<h3>だるさや体の重さが朝から抜けない</h3>朝起きた時点ですでに体が重く感じられたり、日中を通してだるさが続いたりする場合は、前日までの疲労が十分に回復していない可能性があります。
睡眠時間を確保しているにも関わらず疲れが取れないと感じる場合は、睡眠時間だけでなく、睡眠の質にも目を向けてみましょう。
睡眠の質を判断する目安の一つが、朝起きたときに「しっかり眠れた」「体が休まった」と感じられるかどうかです。
こうした休養感が得られない状態が続く場合は、睡眠環境や生活習慣を見直すことで改善につながる可能性があります。(※3)
<h3>外出や家事へのやる気が湧かなくなる</h3>疲れは体だけでなく、気持ちの面にも表れることがあります。
以前はそれほど負担に感じなかった外出や家事が面倒に感じられたり、やる気が湧きにくくなったりする場合は、疲労の蓄積が影響している可能性があります。
このような変化に気付いたときは、無理をせず十分な休息を取るとともに、必要に応じて周囲のサポートを受けながら生活のペースを見直すことが大切です。
なお、やる気の低下が長く続いたり、日常生活に支障が出たりしている場合は、疲労だけでなく別の要因が関係していることも考えられます。
一人で抱え込まず、かかりつけ医や精神科などの専門機関に相談することも検討しましょう。(※4)
60代の疲れにすぐできる対処法

「疲れを何とかしたいけれど、生活を大きく変えるのは難しい」と感じている方もいるでしょう。
疲れを和らげるためには、毎日の生活のなかで無理なく続けられる工夫を取り入れることが大切です。
ここでは、今日から始めやすい対処法を2つ紹介します。
<h3>1時間ごとに立ち上がって体を休める</h3>疲れをため込まないためには、例えば1時間に一度を目安に立ち上がり、軽く体を動かすことを心がけましょう。
長時間同じ姿勢で座り続けると、血流が滞りやすくなります。血流が悪くなると、全身の細胞に酸素や栄養が行き渡りにくくなり、体がだるく感じたり、疲労感につながる可能性があります。(※5)
例えば、デスクワークの合間やテレビを見ている途中に立ち上がって軽く歩いたり、背伸びやストレッチをしたりするだけでも、同じ姿勢による負担を軽減しやすいです。
無理のないタイミングで少しずつ取り入れ、座り続ける時間を減らすことを意識しましょう。※5https://kenko-station.metro.tokyo.lg.jp/category2/undo/zai.html<h3>その場で足踏みをして血流を促す</h3>血流を手軽に促す方法として、その場での足踏みもおすすめです。外に出て歩く時間がとりにくいときでも、室内で気軽に取り組める点が魅力です。
足を交互に上げ下げする動作は、ふくらはぎの筋肉が鍛えられ、全身の血流の改善が期待できます。(※6)
1分程度の短い時間からでも、毎日の日課として続けることで、体を動かす習慣づくりの第一歩につながります。

疲れにくい体を目指すためには、日々の対処に加えて、無理なく続けられる運動習慣を取り入れることも大切です。ここでは、60代の方でも始めやすい運動を紹介します。
<h3>1日20分のウォーキングを続ける</h3>ウォーキングは、特別な道具や場所を必要とせず、60代からでも始めやすい運動の一つです。1日20分程度を目安に、息が少し弾む程度の無理のないペースで歩く時間を確保してみましょう。
継続すると筋肉量の維持につながりやすく、基礎代謝の低下を緩やかにする助けになると考えられています。天候の悪い日は、室内でその場歩きに置き換えるなど、生活スタイルや状況に合わせて無理なく続けられる点も魅力です。
歩く際は、背筋を軽く伸ばし、腕をうしろに引くことを意識すると、より多くの筋肉を使いやすくなります。慣れないうちは10分程度から始め、体の様子を見ながら少しずつ時間を延ばしていくと、無理なく習慣化しやすくなります。(※7)

転倒への不安がある場合は、椅子の背もたれなどにつかまりながら行うスクワットがおすすめです。太もも前面やお尻の筋肉を使うことができ、下半身の筋力維持に役立つといわれています。
下半身には全身のなかでも大きな筋肉が集まっているため、継続して鍛えることは基礎代謝の維持にもつながるでしょう。
また、スクワットではふくらはぎの筋肉も使われます。ふくらはぎは血液を心臓へ送り返すポンプのような役割があり、筋肉を動かすことで血流の改善が期待できます。
適度な運動は心身のリフレッシュにもつながるため、運動習慣を続けるきっかけにもなるはずです。(※8)
はじめは5回程度から、ゆっくりとした動作で無理なく続けましょう。痛みを感じる場合は中止することも大切です。
疲労回復を助ける食事と栄養

疲れを感じるときは、運動だけでなく食事を見直すことも大切です。毎日の食事で必要な栄養をバランスよく取り入れることで、疲労回復をサポートできます。
ここでは、積極的に取り入れたい栄養素や食品を紹介します。
肉や魚や卵や大豆でたんぱく質を摂る
疲労回復や筋肉量の維持のためには、肉や魚、卵、大豆製品などから、たんぱく質をしっかり摂ることが大切です。
たんぱく質は、筋肉をはじめとする体の組織をつくる材料となる栄養素で、運動後の筋肉の修復や健康な体づくりを支える役割があります。(※9)
肉や魚、卵などの動物性たんぱく質だけでなく、豆腐や納豆などの植物性たんぱく質も取り入れ、さまざまな食品からバランスよく摂りましょう。
また、一度にまとめて摂るのではなく、朝・昼・晩の食事に分けて取り入れると、無理なく続けやすくなります。
※9
緑黄色野菜でビタミンやミネラルを補う

にんじんやほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜には、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
ビタミンやミネラルは糖質・脂質・たんぱく質を利用する働きを助けたり、体の調子を整えたりするため、健康維持に欠かせない栄養素です。(※10)
なかでもビタミンB群は、糖質・脂質・たんぱく質をエネルギーとして利用する際に補酵素として働きます。また、鉄は赤血球中のヘモグロビンの材料となり、全身へ酸素を運ぶ重要な役割を担っています。
主食・主菜に加えて、副菜として緑黄色野菜を取り入れ、さまざまな食品を組み合わせながら栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
年齢とともに変わる睡眠の整え方

年齢とともに睡眠は変化し、深く眠れる時間が短くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりすることがあります。
ここでは、加齢による睡眠の変化と、今日から始められる睡眠習慣を紹介します。
<h3>加齢で深い睡眠が減り目が覚めやすくなる</h3>加齢に伴い深い眠りの時間は短くなりやすく、夜中に目が覚めやすくなる傾向があります。これは体質や生活習慣だけによるものではなく、加齢による自然な変化の一つです。
深い眠りが減る背景には、脳の変化も関わっているといわれています。思考や判断をつかさどる前頭前野は、加齢に伴って少しずつ構造が変化することが知られており、この変化が深い眠りの質の低下と関連していると報告されています。(※11)
起床後にカーテンを開けて朝日を浴びる

朝、目が覚めたらカーテンを開けて日光を取り入れると、体内時計を整えるきっかけになります。体内時計が整えば、夜になると自然な眠気を感じやすくなるでしょう。
また、毎朝同じ時間に光を浴びることを意識すると、生活リズムが安定しやすくなります。曇りの日でもカーテンを開けるだけで一定の効果が期待できるとされているため、天候に関わらず続けやすい習慣です。(※12)
特別な準備は必要ありません。まずは毎朝起きたらカーテンを開けることを習慣にし、無理のない範囲で朝の光を取り入れてみましょう。
疲れが続くときの注意点

生活習慣を見直しても疲れが改善しない場合は、加齢だけでなく病気が関係している可能性もあります。
ここでは、疲れの原因として考えられる主な病気や、受診を検討する目安を解説します。
貧血や甲状腺の不調が隠れていないか確かめる
疲れやすさの背景には、貧血や甲状腺の働きの変化が関わっているケースもあります。例えば、貧血の一種の鉄欠乏性貧血では、めまいや立ちくらみ、動悸・息切れ、顔色の悪さといった症状がみられることがあります。
また、甲状腺の働きが低下すると、むくみや冷え、体重の増加、便秘などを伴うことがある一方、働きが過剰になると動悸や発汗の増加、体重減少といった症状がみられる場合もあるようです。
これらは血液検査などで確認できることも少なくないため、自己判断で済ませないことが大切です。 気になる症状が続く場合は、思い込みで対処するのではなく、専門機関への相談を検討しましょう。(※13)※13https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/11.htmlhttps://kyoto.hosp.go.jp/html/guide/medicalinfo/endocrinology/kojyosen.html
疲れが2週間以上続くなら内科を受診する
生活習慣を見直しても疲れが2週間以上続く場合は、内科などの医療機関への相談を検討しましょう。
疲れが長く続く原因は加齢だけとは限らず、病気が隠れていることもあります。症状を放置すると、適切な治療が遅れてしまう可能性もあるため、「年のせい」と決めつけず、早めの相談が大切です。
検査の結果によっては、内科から婦人科や精神科などの専門科を案内される場合もあります。(※14)
疲れにくい体を内側から支える習慣

運動・食事・睡眠を整えることに加えて、毎日の食習慣を変える少しの工夫も、疲れにくい体づくりにつながります。
ここでは、発酵食品やお酢などを取り入れた、無理なく続けやすい習慣を紹介します。
発酵食品やお酢を毎日の食事に取り入れる
味噌や納豆などの発酵食品や、お酢を日々の食事に取り入れることも、疲れにくい体づくりを支える習慣の一つです。
発酵食品は、微生物の働きによって食品にうま味や機能性成分が生まれる、日本の食文化に根づいた食品です。腸内環境を整えることが期待されており、腸内環境は全身の健康と関わりがあるため、毎日の体調管理にも役立つでしょう。(※15)
例えば、味噌汁や納豆を食卓に取り入れたり、副菜に酢の物を一品加えたりすると、普段の食事でも無理なく続けられます。
特別な食材を用意する必要はありません。毎日の食卓に少しずつ取り入れ、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。
※15
寝る前に飲むお酢ドリンクを習慣にする

市販のフルーツ酢や飲むお酢を選ぶと、酸味がやわらかく、毎日の習慣として続けやすいでしょう。濃縮タイプを使用する場合は、表示にしたがって水や炭酸水で薄めて飲むことが大切です。
お酢には、食後の血糖値の上昇を緩やかにする作用があることが報告されています。血糖値を急激に変動させないことは健康維持にもつながるため、毎日の食生活に無理なく取り入れる方法の一つとして活用できます。(※16)
寝る前のリラックスタイムに取り入れることで習慣化しやすくなりますが、就寝直前の飲食が気になる方や胃への刺激を感じやすい方は、夕食時や就寝の少し前など、自分に合ったタイミングで取り入れるとよいでしょう。
※16
習慣を整えて疲れにくい60代を過ごそう

ここまで、60代で疲れやすくなる原因から、今日からできる対処法、運動・食事・睡眠を整える工夫までをご紹介してきました。
疲れやすさの背景には、筋肉量の低下や睡眠リズムの変化など、加齢に伴う自然な要因が関わっている場合があります。
まずは運動と睡眠を整えることを意識し、無理のない範囲で生活習慣を見直してみましょう。
そのうえで、発酵食品やお酢を取り入れるといった、毎日続けやすい習慣を持つことも、体を内側から支える選択肢の一つです。ご自身のペースで、疲れにくい毎日を目指してみてください。
一つひとつは小さな工夫でも、積み重ねていくと、疲れにくい体へと少しずつ近づけます。
参考文献
- e-ヘルスネット「健康日本21アクション支援システム Webサイト」
- 60代女性が疲れやすいのはなぜの参考資料
- 健康長寿ネット「高齢者の睡眠」
- e-ヘルスネット「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」
- e-ヘルスネット「健康日本21アクション支援システム Webサイト」
- 座位行動を減らして、身体活動量を増やそう
- 60代女性が疲れやすいのはなぜの参考資料
- 健康長寿ネット「高齢者に適したウォーキングとは」
- e-ヘルスネット「健康日本21アクション支援システム Webサイト」
- 健康長寿ネット「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」
- 60代女性が疲れやすいのはなぜの参考資料
- 日本医療研究開発機構「60代女性が疲れやすいのはなぜの参考資料」
- e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
- 国立長寿医療研究センター「貧血の原因は?」
- 甲状腺の病気について|内分泌・代謝内科
- J-STAGE「疲労・倦怠感および慢性疲労症候群の病態」
- 農林水産省「「発酵」の不思議:農林水産省:農林水産省」
- 第83回 お酢で健康に
