
睡眠時間の適正な調べ方とは?自分に合う長さと質の上げ方を解説
自分に適した睡眠時間がわからず、日中の仕事のパフォーマンス低下や疲労感に不安を抱くビジネスパーソンは少なくありません。
適切な睡眠量には大きな個人差が存在するため、他者の基準に合わせるのではなく、自分自身の長さを客観的に知る必要があるでしょう。
本記事では、特別な道具を使わずに日常生活のなかでできる適正な睡眠時間の調べ方や年代別の目安、睡眠不足を見極めるサインを解説します。
さらに、必要な睡眠時間を確保するための工夫や、睡眠環境と生活習慣を整える具体的なコツまで詳しく紹介します。
睡眠時間の適正な調べ方とは?基本の考え方

私たちは日々、仕事や生活のなかで睡眠時間に関する不安を抱えることがあるでしょう。自分に合う長さを知るためには、前提となる考え方の整理が大切です。
理想の長さには幅があり、一概に定義できない性質を持っています。周囲の意見に惑わされず、まずは個人の体質や環境に目を向ける意識が必要不可欠です。
ここでは睡眠時間の基本的なとらえ方を整理したうえで、個人差が生じる背景を解説します。(※1)
※1
適正な睡眠時間には個人差がある
私たちは一人ひとり、必要な睡眠の長さが異なります。短時間で足りる方がいる一方で、長時間の睡眠を求める方も珍しくありません。
厚生労働省の報告によると、個人の遺伝的な要因が関与しているとされています。周囲の基準に合わせるのではなく、自身の体調の観察が重要です。
日中に良好なパフォーマンスを維持できる状態が、自分自身の基準となります。個人の差を認識したうえで、次の段階として具体的な生活環境の影響も考慮しましょう。(※2)
※2
体質や生活で必要な長さは変わる
日中の活動量や精神的な負荷により、身体が求める休息の量は変化します。デスクワーク中心の生活と体力を激しく使う仕事では、疲労の回復にかかる時間が異なるためです。
季節や室温などの環境要因によっても、睡眠効率が変動するかもしれません。自身のライフスタイルや体調の推移を客観的に観察し、柔軟に調節する意識が求められるでしょう。
日々の変化をとらえるために、具体的な睡眠時間の測定手順に進むことが有効です。(※3)
※3
自分の適正な睡眠時間を調べる方法

自身の基準となる時間を把握するためには、具体的な手順が存在します。特別な機器を使用しなくても、日々の行動の観察で測定が可能です。
生活習慣のなかに測定の時間を組み込むことで、無理なく実態を把握できるでしょう。
ここでは休日に好きなだけ眠った計測、平日と休日の睡眠時間の差で見る手法、数日間記録して平均を出す方法を解説します。(※4)
※4
休日に好きなだけ眠って計測する
平日の睡眠不足を解消した状態で、目覚まし時計を使わずに眠る方法があります。初日は蓄積した疲労により長く眠る傾向にありますが、2日目以降に安定していく仕組みです。
その安定した休息の長さが、本来身体が必要としている時間の目安にほかなりません。スマートフォンのアラームを解除し、自然に目が覚める環境を整えて測定を行います。
この測定を行うことで、日頃の不足分を補うために身体が求める本来の睡眠時間を数値化できるでしょう。(※5)
※5
平日と休日の睡眠時間の差で見る

平日の平均的な長さと、休日の休息時間を比較して過不足を判断します。両者の差が2時間以上ある場合は、平日の休息が不足している状態を意味する指標です。
この状態が継続すると、日中の集中力が低下する要因となるため注意が必要です。差を縮めるように平日のスケジュールを調整し、一定の睡眠時間を確保する行動へつなげましょう。
現状の差の把握は、生活習慣の歪みを是正する第一歩となります。(※6)
※6
数日間記録して平均を出す
起床時刻と就寝時刻、日中の体調を2週間程度ノートやアプリに書き留めます。記録が溜まることで、自身の平均的な休息時間と日中の疲労度の相関関係が見えてくるはずです。
すっきりと目覚めることができた日や、日中に眠気を感じなかった日の長さを抽出します。そのデータの平均値の算出で、指標となる数値を導き出すことが可能です。
記録の継続により、感覚に頼らない正確な基準値が得られるでしょう。(※7)
※7
睡眠の質と量を測るチェックシートの使い方

主観的な感覚だけでなく、客観的なツールを用いることで現状の課題が明確になります。評価指標を利用すれば、睡眠の傾向や不足度合いを可視化できるでしょう。
自身の睡眠状態をデータとしてとらえることは、適切な改善行動を起こすために有益なアプローチです。ここではチェック指標で睡眠タイプの診断や、アプリや記録で睡眠を測る手段を解説します。(※8)
※8
チェック指標で睡眠タイプを診断する
3DSSと呼ばれる睡眠型判定チェックシートは、自身の睡眠習慣を客観的に評価するツールです。質問への回答で、朝型や夜型などの特性や睡眠の過不足が判明します。
自身のタイプの自覚で、無理のない生活設計を立てる手がかりを得られるでしょう。定期的に診断を行い、習慣の改善度合いを確認する手段として有効です。
診断結果をもとにして、個人の特性に合わせた休息の計画を立案できます。(※9)
※9
アプリや記録で睡眠を測る
スマートフォンの内蔵センサーやウェアラブル端末を利用し、就寝中の身体の動きを測定します。これにより、睡眠の深さや中途覚醒の回数が自動的にデータとして蓄積される仕組みです。
感覚に頼らず客観的な数値で把握できるため、問題点の特定が容易になる点がメリットになります。測定結果をもとに、寝具の調整や入眠前の環境改善を論理的に進めることが可能です。
デジタル技術の活用により、毎日の睡眠状態を精密に追跡できるでしょう。(※10)
※10
適正な睡眠時間の目安は何時間?

一般的に推奨される基準を知ることで、自身の数値と比較検討ができます。年齢の推移とともに必要な長さが変化する点も、押さえておきたい知識です。
同世代の平均値を参考にしつつ、自身の現状の把握が推奨されます。ここでは成人の推奨はおおむね6〜9時間なこと、年代によって必要な睡眠時間は変わる仕組みを解説します。(※11)
※11
成人の推奨はおおむね6〜9時間

日本の成人の標準的な睡眠時間は、6時間から9時間の範囲に収まるのが一般的です。多くの調査で、7時間前後の睡眠を取る方が多数を占める結果が出ている状況です。
これより短すぎたり長すぎたりすると、健康維持に影響を及ぼすリスクが指摘されています。まずは7時間を目標として設定し、前後の体調の変化を確認していく手順が有効でしょう。
一般的な基準との比較により、自身の過不足を判断できます。(※12)
※12
年代によって必要な睡眠時間は変わる
年齢を重ねるにつれて、体質の変化に伴い必要な睡眠の長さは減少します。10代の頃は長時間の休息を必要としますが、20代以降は徐々に落ち着いていくのが一般的です。
高齢期になると、基礎代謝の低下などに伴い6時間未満でも足りる状態になります。過去の習慣に執着せず、現在の年齢に応じた目安を取り入れる姿勢が重要です。
加齢による変化の理解で、無理のない時間設定が可能になるでしょう。(※13)
※13
睡眠時間が足りているか分かるサイン

身体が発するシグナルを読み取ることで、不足状態を早期に察知できます。無自覚のうちに休息が不足しているケースもあるため、基準を知ることが大切です。
日中の体調変化に注意を払うことで、隠れた健康リスクを発見できるでしょう。ここでは日中に強い眠気が出る現象や、週末に寝だめをしてしまう状態を解説します。(※14)
※14
日中に強い眠気が出る
十分な休息が取れていない場合、午前中や昼食後に激しい眠気に襲われます。脳の覚醒状態を維持できなくなり、作業効率や判断力が著しく低下するでしょう。
会議中や運転中に集中力が途切れる場合は、危険な状態と認識すべきです。このサインが現れた際は、夜間の睡眠時間を見直すか、質を高める対策を講じる必要があります。
日中の覚醒レベルの低下は、夜間の休息不足を端的に示す指標となるでしょう。(※15)
※15
週末に寝だめをしてしまう
平日の不足分を補うために、土曜日や日曜日に長時間眠る行動が見られます。これは睡眠負債が蓄積している証拠であり、体内時計が乱れる要因です。
時差ボケのような状態を引き起こし、翌週の月曜日の体調を悪化させる原因です。週末に遅くまで眠ってしまう傾向自体が、日頃の休息不足を証明しています。
平日の不足を週末に補う行為は、根本的な解決には至らない手段と言わざるを得ません。(※16)
※16
適正な睡眠時間が取れないときの対処

業務の都合などにより、希望する長さを確保できない状況に直面することもあります。ただし、睡眠時間の不足を睡眠の質だけで補うことはできないため、まずは必要な時間を確保するための工夫が必要です。
時間の不足をそのままにせず、仕事や家事、就寝前の行動を見直しましょう。ここでは睡眠時間の確保を優先する考え方と、生活リズムを整える重要性を解説します。(※17)
※17
睡眠時間の確保を優先する

睡眠時間が不足している場合は、睡眠の深さを追求するだけでなく、必要な睡眠時間を確保することを優先しましょう。睡眠には心身を休養させる役割があり、慢性的な不足を質の工夫だけで補うことは困難です。
就寝時刻から逆算して夜の予定を組み、残業やスマートフォンの使用、家事の時間など、就寝を遅らせている行動を見直します。毎日すべてを変えるのが難しい場合は、まず15分から30分程度、就寝を早める方法を検討しましょう。
寝室の光や温度などを整えることも大切ですが、こうした対策は必要な睡眠時間を確保したうえで、補助的に取り入れることが重要です。(※18)
※18
生活リズムを整える
就寝直前のスマートフォン操作を控え、寝室の遮光性を高めることで環境を整えます。光の刺激を制御すると、入眠を促すメラトニンの分泌が正常に行われるでしょう。
就寝と起床の時刻をできるだけ一定にし、中途覚醒を減らすための寝室環境を整えることで、安定した休息につなげられます。日中の活動時間も含めて、規則正しい生活を心がけましょう。
規則的な生活パターンを構築することは、睡眠時間を確保しやすい環境づくりにつながります。(※19)
※19
適正な睡眠時間を確保するコツ

安定して必要な時間を生み出すためには、生活習慣の構造改革が求められます。意思の強さに頼るのではなく、仕組みを作ることが成功の秘訣となるでしょう。
日々のタイムスケジュールを固定化し、睡眠を優先する環境を構築します。ここでは就寝と起床の時間を一定にすること、寝る前の習慣を見直す具体的な方法を解説します。(※20)
※20
就寝と起床の時間を一定にする
平日の勤務日だけでなく、休日も同じ時刻に起床して日光を浴びるのが有効です。これにより体内時計がリセットされ、夜間の決まった時刻に自然な眠気が訪れるでしょう。
スケジュールを固定化で、睡眠時間を削るリスクを低減させることが可能です。就寝時刻から逆算して夜の行動を決める習慣が、時間の確保につながります。
起床と就寝の時刻の固定は、時間の損失を防ぐ有効な防壁です。(※21)
※21
寝る前の習慣を見直す
就寝の2時間前までに夕食を済ませ、入浴は90分前に行うスケジュールを組みます。消化活動を終え、深部体温が下がるタイミングに合わせることで速やかな入眠が可能です。
カフェインやアルコールの摂取タイミングの管理も、中途覚醒を防ぐために寄与するでしょう。寝室をリラックスできる空間に保ち、スムーズに休息へ移行します。
入眠前の行動の管理で、就寝までの時間を短縮できるはずです。(※22)
※22
睡眠時間とあわせて睡眠の質を上げるコツ

必要な睡眠時間を確保するとともに、睡眠環境や生活習慣を整えるアプローチを取り入れます。日常の食事やセルフケアを見直すことも、健康的な生活習慣を支える要素の一つです。
習慣として定着しやすい方法を厳選し、長期的な取り組みを行うことが大切です。ここでは食事や栄養で睡眠を支える視点、毎日続けられるケアを選ぶポイントを解説します。(※23)
※23
食事や栄養で睡眠を支える
アミノ酸の一種であるGABAは、食品にも含まれている成分です。ただし、GABAを含む通常の食品を摂取することで、一律にストレスの緩和や睡眠状態の改善が得られるとは限りません。
食品ごとにGABAの含有量や摂取条件が異なるため、特定の条件で行われた研究結果を、GABAを含む食品全般にそのまま当てはめることは適切ではありません。
睡眠を含めた健康的な生活習慣を整えるためには、特定の成分だけに頼らず、主食・主菜・副菜を組み合わせた栄養バランスのよい食事と、規則的な食事時間を心がけましょう。食事だけで睡眠状態が改善するとは限らないため、睡眠時間や生活リズムもあわせて見直すことが大切です。(※24)
※24
毎日続けられるケアを選ぶ
複雑な手順や高価な道具を必要とする方法は、途中で挫折する原因となります。軽いストレッチや照明の調整など、生活のなかで無理なく続けられる方法を検討しましょう。
自身の生活動線のなかに組み込めるケアであれば、意識しない継続が可能です。長期的に安定した習慣の維持が、健康的な休息習慣の定着につながります。
行動へのハードルを下げ、自身の生活に合った方法を継続することが、規則的な生活習慣を整えることにつながるでしょう。(※25)
※25
適正な睡眠時間を知り睡眠の質も高めよう

私たちは日々の生活の質を維持するために、睡眠の管理が不可欠です。
この記事では個人差のある適正な睡眠時間の調べ方や目安、不足時のサイン、および時間を確保して質を高める習慣を解説しました。
睡眠不足は日中のパフォーマンス低下に直結するため、まずは週末を利用した計測や日々の記録から、自分の身体が必要とする基準の睡眠時間の把握が大切です。
多忙なスケジュールにより必要な睡眠時間の確保が難しい場合でも、睡眠の質だけで不足時間を補おうとせず、仕事や家事、就寝前の行動を見直して、可能な範囲で睡眠時間を確保しましょう。そのうえで、生活リズムや寝室環境を整える対策を補助的に取り入れることが大切です。
参考文献
S'UIMIN|自分にとって適正な睡眠時間を知る方法
大塚製薬|3DSSチェックシートによる睡眠型診断
西川|睡眠時間の理想は何時間?その調べ方や質を上げる方法
心のクリニック|自分に合った睡眠時間を確認7〜9時間が推奨
いい眠り.press|自分に合う睡眠時間の見つけ方
参考文献
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」
- e-ヘルスネット「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」
- e-ヘルスネット「睡眠時間の適正な調べ方の参考資料」
- e-ヘルスネット「睡眠編アドバイスシート_241204--FIXのコピー」
- J-STAGE「睡眠の位相・質・量を測る3次元型睡眠尺度(3 Dimensional Sleep Scale; 3DSS)─日勤者版─の信頼性・妥当性の検討」
- 疲労測定アプリ「疲労checker」
- e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
- 厚生労働省「【参考資料3】Good Sleepガイド」
- J-STAGE「ストレスと睡眠・情動障害:神経ステロイド・アロプレグナノロン系の関与」
