
睡眠の質を上げる食べ物や飲み物とは?質の良い睡眠に導く食事や栄養素をご紹介
最近「ぐっすり眠れていない」「朝起きたときに疲れが残っている」と感じていませんか?
近年の調査では、日本人の約4割が、1日の平均睡眠時間6時間未満であると報告されています。しかし、睡眠の悩みは時間の長さだけでは語れません。日々の食事や飲み物の選び方が、眠りの質に深く関わっていることが注目されるようになってきました。
本記事では、睡眠の質を意識するうえで知っておきたい食べ物や飲み物と栄養素、食事の工夫についてご紹介していきます。特別な準備は必要なく、普段の食卓から無理なく取り入れられるものばかりですので、ぜひ最後までお読みください。
睡眠は質が大事

「毎日ちゃんと寝ているのに、疲れがとれていない気がする…」という経験はないでしょうか。実は、睡眠は健康維持に密接に関係するとされています。
睡眠は長さだけでなく、質がとても重要です。限られた時間のなかで、いかに深く休めるかを意識することが大切でしょう。
忙しい毎日を過ごす方ほど、睡眠の質を見直すことが、心身の健康を守る第一歩になるかもしれません。
睡眠不足のリスク
睡眠の質が低い状態が続くと、日中のコンディションが悪くなる可能性があります。
睡眠不足は、産業事故の原因となることもあります。睡眠の問題を放置すると、日中の心身の調子にも支障を及ぼすかもしれません。
さらに、睡眠不足や睡眠障害は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を悪化させるリスクがあるとされています。なんとなく調子が悪いという不調の背景には、睡眠の問題が隠れていることも少なくありません。
睡眠不足が続くと、仕事でのうっかりミスが増えたり、会社の人や家族に対してついイライラしてしまったりと、心の余裕も奪ってしまいます。「最近少し疲れやすいな」と感じたら、まずは早めに布団に入ることを意識するのがおすすめです。
質の良い睡眠の効果

一方で、質の良い睡眠がとれると、朝の目覚めがスッキリします。その結果、日中の活動にも前向きに取り組みやすくなると考えられています。
適切な睡眠時間の確保と、睡眠休養感の向上が心身の健康維持にとって重要であることは、多くの研究でも繰り返し指摘されているポイントです。
質の良い眠りを意識することは、毎日を健やかに過ごすための土台づくりといえるでしょう。
睡眠のメカニズム

眠くなるのは疲れたからと単純に考えてしまいがちです。しかし、睡眠は体内時計と睡眠欲求という2つの仕組みによって成り立っていることが明らかになっています。
規則正しい睡眠リズムをつくっているのは、日中の疲労蓄積によって高まる睡眠欲求と、体内時計から発信される覚醒力のバランスです。
就床時刻の1〜2時間前になると、メラトニンというホルモンの分泌が始まります。これにより覚醒力が急速に低下し、眠気が訪れます。
このメラトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンを原料として合成されることがわかっています。つまり、食事から摂取する栄養素が、睡眠の仕組みに深く関わっている可能性があるのです。
睡眠は偶然やってくるものではありません。体の中の一連の流れによって導かれるものだと理解することが大切です。
睡眠の質を上げる食べ物や飲み物とは

睡眠の質を意識するうえで、日常の食卓に並ぶ身近な食品が大きな役割を果たす可能性があります。特別な食材を取り寄せる必要はありません。普段の食事のなかで少し意識を変えるだけで、眠りと向き合う習慣が始められるでしょう。
ここでは、睡眠に関わる栄養素が含まれる代表的な食べ物や飲み物をご紹介していきます。
牛乳や乳製品
牛乳やヨーグルトなどの乳製品には、睡眠に関わるとされるトリプトファンが含まれています。トリプトファンは体内でセロトニンの材料となり、やがてメラトニンの生成にもつながるアミノ酸です。
就寝前にホットミルクを飲む習慣は、古くから親しまれています。これは、体を温めるリラックス効果だけでなく、トリプトファンの摂取という観点からも理にかなっていると考えられるでしょう。
忙しかった一日をリセットするアイテムとして、ホットミルクを取り入れるのもおすすめです。
バナナやアボカド
バナナには、トリプトファンに加えてビタミンB6やマグネシウムも含まれています。睡眠を意識する方にとって、取り入れやすい食品のひとつです。手軽に食べられる点も、忙しい方にはうれしいポイントでしょう。
アボカドも、マグネシウムを豊富に含む食品として知られています。サラダやトーストにプラスするだけで栄養価を高められるため、朝食や軽食に取り入れてみるのもよいかもしれません。
皮をむくだけで食べられるバナナは、忙しい朝の強い味方です。まずは、一本から始める習慣を持つことで、生活習慣の一部として取り入れてみるのもよいでしょう。
大豆製品

豆腐や納豆、味噌といった大豆製品にもトリプトファンが含まれています。日本の伝統的な食事は、もともと大豆製品を多く取り入れる食文化です。特別な準備をしなくても日常的に摂取しやすい点が魅力です。
特に、朝食で納豆や味噌汁を習慣にしている方は、知らず知らずのうちにトリプトファンを食事から摂取している可能性があります。和食中心の食生活を意識するだけでも、睡眠と向き合う第一歩になるかもしれません。
サケや青魚
サケやサバ、イワシなどの青魚には、DHAやEPAといったn-3系多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。健康維持のうえでも、積極的に取り入れたい栄養素でしょう。
魚料理を週に数回取り入れるだけでも、食事の栄養バランスが整いやすくなります。焼き魚や刺身など調理法も幅広いため、飽きずに続けやすいのもメリットのひとつです。
ナッツ類や豆類
アーモンドやくるみといったナッツ類には、マグネシウムやトリプトファンが含まれています。間食としてそのまま食べられるため、忙しい方でも手軽に栄養を補える食品でしょう。
豆類もまた、ビタミンB群やマグネシウムを含む食材として注目されています。スープや煮込み料理に加えることで、自然に食事へ取り入れることが可能です。
小腹が空いたときに、ナッツを数粒つまむだけで、罪悪感なく栄養をチャージできます。デスクに常備して、仕事の合間にも手軽に摂取することを意識してみましょう。
卵

卵はトリプトファンを含むだけでなく、タンパク質やビタミンB群など、多くの栄養素をバランスよく含む食品です。
朝食にゆで卵やスクランブルエッグを加えるだけでも、一日のスタートに必要な栄養素を効率よく摂取できるでしょう。
調理のバリエーションが豊富な点も卵の魅力です。毎日の食事に無理なく取り入れやすい食材のひとつといえます。
睡眠と関係があるとされる栄養素

食べ物や飲み物を選ぶ際に、どのような栄養素が睡眠と関わっているのかを知っておきましょう。そうすることで、より意識的に食生活を組み立てやすくなります。
ここでは、睡眠に関係するとされる代表的な栄養素について解説していきます。
トリプトファン
トリプトファンは必須アミノ酸のひとつです。体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。トリプトファンはセロトニンの原料となり、そこからさらにメラトニンが合成されることがわかっています。
牛乳や大豆製品、バナナや卵などに多く含まれている栄養素です。朝食で摂取することで日中のセロトニン生成に役立ち、夜のメラトニン分泌と関連が示唆されています。
朝食に牛乳や卵を意識的に選ぶことで、日中を活動的に過ごし、夜は穏やかに休むというメリハリのある生活リズムが自然と整いやすくなります。
ビタミンB6

ビタミンB6は、トリプトファンからセロトニンへの変換を助ける役割があるとされています。つまり、トリプトファンだけを意識するのではなく、ビタミンB6を一緒に摂ることが大切だといえるでしょう。
鶏むね肉やマグロ、バナナやにんにくなどに含まれています。バランスのよい食事を心がけることで、自然と摂取しやすい栄養素です。
主菜にお肉やお魚を選び、副菜にバナナを添えるなど、食材の組み合わせを楽しむのがおすすめです。体の中で栄養が手助けし合っていることを意識して、楽しく栄養素を摂取しましょう。
マグネシウムやグリシン
マグネシウムは栄養素として注目され、リラックスした状態へ導く手助けをしてくれると言われています。ナッツ類や海藻、豆腐などに多く含まれるため、日々の食事に取り入れやすいでしょう。
グリシンもまた、睡眠に関する研究で注目されているアミノ酸のひとつです。エビやホタテなどの魚介類に含まれており、夕食のメニューに組み込みやすい食材から摂取できる点が魅力です。
GABA
GABAはアミノ酸の一種で、リラックスに関与する成分として広く知られています。研究により、GABAにはストレス緩和やリラクゼーション効果があることが科学的に確認されています。機能性表示食品の関与成分としても、多くの届出がなされています。
発芽玄米やトマト、漬物などの発酵食品にも含まれているため、日常の食事から意識的に摂取することが可能です。ストレスを感じやすい方や、リラックスする時間がないと感じている方にとって、GABAを含む食品は生活のなかで取り入れやすい選択肢といえるでしょう。
睡眠の質を上げる食事

栄養素を意識することは大切ですが、毎日の食事で完璧を目指す必要はありません。日常のなかで少しだけ意識を変えることが、無理なく続けられる「睡活(すいかつ)」への近道になるでしょう。
玄米を主食にしたメニュー
白米を玄米に置き換えるだけでも、ビタミンB群や食物繊維といった栄養素を食事に取り入れやすくなります。玄米は咀嚼回数が増えることで満足感も得やすく、夕食に取り入れることでリラックスした食事時間を過ごしやすくなるでしょう。
最近は、手軽に炊ける玄米や発芽玄米も多く販売されています。そのため、初めての方でも試しやすい環境が整っています。まずは、週に数回から始めてみるのがおすすめです。
朝食にタンパク質を取り入れる

朝食でトリプトファンを含むタンパク質を摂取しておくと、日中のセロトニン生成を助けます。これが、夜のメラトニン分泌につながる可能性があると考えられています。卵料理やヨーグルト、納豆ごはんといったメニューは、準備の手間も少なく続けやすい朝食の選択肢でしょう。
忙しい朝に、無理をする必要はありません。いつもの朝食にひと品加えるくらいの意識で十分です。小さな積み重ねが、睡眠と向き合う習慣の土台をつくってくれるはずです。
たとえ忙しくても、納豆1パックやヨーグルト1個をプラスするだけで、睡眠習慣を意識するきっかけになります。無理のない自分のペースで、健康的な食事をこころがけましょう。
睡眠の質を妨げる食べ物や飲み物

睡眠を意識した食生活を心がけるなかで、眠りに影響を与えやすい食品や飲み物についても知っておきましょう。すべて避ける必要はありませんが、タイミングや量を意識するだけでも変化を感じられるはずです。
まず、カフェインの摂取量は、1日400mg以下が望ましいとされています。コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには覚醒作用があります。特に夕方以降の摂取は夜間の睡眠に影響しやすいため、控えめにしましょう。
また、アルコールも睡眠の質に影響を与えやすい飲み物のひとつです。アルコールは一時的に寝つきを促進するものの、睡眠後半の眠りが顕著に悪化するとされています。リラックス目的であっても寝酒は避ける方がよいでしょう。
さらに、脂っこい食事や消化に時間がかかる食べ物を就寝前に摂ると、胃腸に負担がかかり眠りが浅くなることが考えられます。夕食はなるべく就寝の2〜3時間前までに済ませ、消化のよいメニューを選ぶよう心がけてみてください。
睡眠の質を上げるには

ここまでご紹介してきたように、食事や栄養素を意識することは、睡眠と向き合ううえでとても大切な習慣です。しかし、忙しい毎日のなかで、毎食完璧な栄養バランスを意識するのは難しいと感じる方もいるのではないでしょうか。
そのようなときには、食べ物を意識してみましょう。乳製品や大豆製品、魚やたまごなど、栄養バランスの整った食事を取ることが大切です。
また、手軽に取り入れられるドリンクやサプリメントを上手に活用するのも、一つの方法です。完璧を目指してストレスを感じてしまうよりも、無理なく続けやすい工夫を、毎日の生活の中にそっと組み込むことが大切です。それが結果として、質の良い眠りへの近道になります。
例えば、お風呂上がりや寝る前の自分をいたわるために、リラックスタイム向けの飲み物を一杯楽しむなど、自分なりの入眠の儀式を作ってみてはいかがでしょうか。
頑張る自分を労いながら、自然に続けられる習慣が、明日のあなたの活力と健やかな笑顔をしっかりと支えてくれるはずです。まずは今日から、一息つく時間を大切にすることから始めてみましょう。
参考文献
- 厚生労働省「睡眠に関する資料」
- e-ヘルスネット「健やかな眠りの意義」
- e-ヘルスネット「メラトニン」
- e-ヘルスネット「セロトニン」
- 農畜産業振興機構「脳の栄養 ~ブドウ糖(砂糖)とトリプトファンを中心として~」
- e-ヘルスネット「マグネシウム」
- 厚生労働省「:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
- 広島大学「【研究成果】脳内のGABAを増加させるプレバイオティクスを発見 ~抑うつやてんかんなど脳疾患の新たな予防・改善の可能性~」
- 農林水産省「米と栄養:」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」
- e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」
- e-ヘルスネット「体内時計」
- e-ヘルスネット「健康日本21アクション支援システム Webサイト」
