
テアニンを含む食べ物や飲み物は?テアニンに期待できる効果や摂取量の目安について解説
「テアニン」という言葉を目にしたことはありませんか。テアニンはお茶のうま味に関わるアミノ酸の一種で、健康との関係についてさまざまな研究が行われている成分です。
テアニンを取り入れたいと考えても、どのような食べ物や飲み物に含まれているのかわからない方もいるでしょう。
さらに、どのくらい摂ればよいのか、お茶に含まれるカフェインが気になる方もいるかもしれません。
この記事では、テアニンの基礎知識から、テアニンを取り入れられる飲食物についてご紹介します。あわせて、現在研究されている具体的な働きや、摂取量の考え方、注意点についても整理しました。
ご自身の目的や生活スタイルに合わせて取り入れる際の参考として、ぜひ最後までチェックしてみてください。
テアニンとは

テアニンは、茶葉に特徴的に含まれるアミノ酸の一種です。
たんぱく質の材料になるアミノ酸とは異なり、「非たんぱく質構成アミノ酸」に分類されます。化学名は「γ-グルタミルエチルアミド」といいます。
お茶に含まれる主要な遊離アミノ酸(たんぱく質に組み込まれず、単独で存在するアミノ酸)の一つで、お茶の豊かなうま味を構成する重要な成分です。
テアニンの含有量は、茶葉の摘採時期に応じて異なるのが特徴です。さらに、栽培方法や淹れ方(抽出条件)といった要素でも大きく変化します。
テアニンの特徴
テアニンの特徴として、お茶のうま味との関係が挙げられます。農林水産省によると、玉露では遮光栽培によってテアニンに由来するうま味が特徴になります(※1)。
なお、テアニンの含有量は、茶の種類や品種などによってさまざまです。実際に一番茶36品種・系統を調べた研究では、茶葉1gあたり6.19〜30.70mgと幅がありました。(※2)
そのため、お茶の種類だけで含有量を一律に判断することはできません。
テアニンとL-テアニンの関係
テアニンには、L体とD体という2つのタイプ(光学異性体)があります。2つのうちL体のテアニンがL-テアニンです。
天然の茶葉に含まれるテアニンは主にL体で、研究でもL-テアニンが多く扱われています。
テアニンを含む食べ物はある?

テアニンは茶の原料であるチャノキに特徴的に含まれる成分で、日常生活ではお茶が主な摂取源になります。一般的な食品の中で、お茶以外にテアニンを多く含むものは、ほとんど知られていません。
そのため日常の食生活では、テアニンは「食べ物から摂る成分」より「お茶から摂る成分」としてとらえるのが実態に合っています。テアニンを取り入れたい場合は、日々口にするお茶の種類や淹れ方に目を向けてみましょう。
テアニンを含む代表的な飲み物

テアニンは、チャノキを原料とする緑茶や紅茶、ウーロン茶・ジャスミン茶などから検出されています(※3)。市販のペットボトル飲料を分析した研究では、調べた茶系飲料の中で緑茶の濃度が高い傾向がみられました(※3) 。ただし、同じ種類のお茶でも製品によって含まれる量には差があります。
一方、麦茶やブレンド茶のようにチャノキを原料としない飲料では、テアニンは検出限界以下でした。
テアニン摂取を目的に飲み物を選ぶなら、原料がチャノキかどうかが一つの判断基準になります。なお、茶葉に含まれる量と、実際に抽出して飲むときの濃度は同じとは限りません。
この点に注意しながら、代表的なお茶を個別に解説します。
玉露

玉露は、テアニンとの関わりが深い代表的なお茶です。一番茶の新芽が伸び始める頃から、茶樹を20日間ほど覆って日光を遮って育てるのが特徴です。
農林水産省は、この遮光によってテアニンに由来するうま味が特徴になると解説しています(※1)。
ただし、玉露に含まれるテアニンの量は品種や栽培条件などによって変わります。「玉露なら必ずほかのお茶より多い」とは言い切れない点に注意しましょう。
緑茶
緑茶にもテアニンが含まれています。農研機構の研究では、実際に茶葉から淹れた緑茶にテアニンが抽出されることが確認されています(※4)。
ただし、テアニンの量は茶葉の種類や淹れ方によって変わります。そのため、「緑茶を1杯飲めば○mg摂れる」と一律に考えることはできません。
紅茶

紅茶は、緑茶と同じチャノキの葉から作られるお茶で、テアニンを含んでいます。国内で市販されている12銘柄を分析した研究では、テアニンの量は茶葉100gあたり約200〜800mgと、銘柄によって差がありました(※5)。
ただし、この数値は茶葉に含まれる量であり、紅茶1杯あたりの量ではありません。
テアニンの含有量はお茶の種類によって異なる

ここまでの数値を整理すると、次のようになります。
一番茶36品種・系統の茶葉:1gあたり6.19〜30.70mg(※2)
国内市販の紅茶12銘柄の茶葉:100gあたり約200〜800mg (※5)
市販の茶飲料:製品間で差が確認されている(※3)
これらは単位や測定対象が異なるため、数値を並べて「どのお茶がどれだけ多い」と比較することはできません。共通の標準値があるわけでもありません。
なお、農研機構の研究では、茶の品種や茶葉の量、抽出温度、抽出時間によって、お茶に溶け出す成分の量が変わることが示されています(※4)。同じ茶葉であっても淹れ方によってテアニンの量は変わるため、茶葉の含有量がそのまま飲用時の摂取量になるわけではない点も、あわせて押さえておきましょう。
テアニンについて研究されている主な働き

L-テアニンとストレスや睡眠との関係を検証するヒトを対象とした研究が行われています。また、注意や認知機能への影響も研究対象の一つです。
一部の指標で変化が報告されている一方、研究によって結果が分かれているものもあります。そのため、「研究されていること」と「効果が確立していること」は分けて考える必要があります。
<h3>リラックスとの関係</h3>L-テアニンとリラックスの関係については、ストレスとの関係を調べた研究が行われています。
L-テアニンを機能性関与成分とする機能性表示食品には、「一過性の作業によるストレスをやわらげる機能があることが報告されています」という表示の例があります(※6)。
ただし、機能性表示食品は、安全性や機能性の科学的根拠について国の審査を受けたものではありません。そのため、現時点では「テアニンにリラックス効果がある」と言い切れないのが現状です。
睡眠との関係

睡眠との関係では、一部の指標について報告があります。ただし「テアニンを摂れば眠れる」といえる段階ではありません。
L-テアニンを機能性関与成分とする機能性表示食品には、「夜間の健やかな眠り(起床時の疲労感や眠気の軽減)をサポートする機能があることが報告されています」という表示の例があります(※6)。
ここで報告されているのは、起床時の疲労感や眠気の軽減です。「寝つきがよくなる」「ぐっすり眠れる」といった内容ではない点に注意しましょう。
睡眠の悩みにはさまざまな原因があります。そのため、一部の指標の改善と睡眠の悩みの解消は分けて考える必要があります。
集中力との関係
集中力との関係については、「集中力」そのものではなく、注意力や反応時間などの指標を用いた研究が行われています。
日中の眠気への影響を調べた国内の研究では、注意力を測る課題の正答率や反応時間に、明確な変化は認められませんでした(※7)。
そのため、「テアニンが集中力を高める」と一概にはいえません。
カフェインとの関係
お茶には、テアニンだけでなくカフェインも含まれています。農林水産省によると、テアニンとカフェインは、お茶を淹れるときの水温によって溶け出す量が異なります。
冷蔵庫で冷やした程度の水で緑茶を淹れると、テアニンの溶出量はお湯で淹れた場合と大きく変わらない一方、カフェインの溶出量は約半分になります(※8)。そのため、お茶からテアニンを取り入れる場合は、一緒に含まれるカフェインにも目を向けることが大切です。睡眠を意識するなら、カフェインの量や飲む時間帯もあわせて考えましょう。
テアニンを摂取する方法

テアニンを摂る方法は、お茶などの通常の食品から摂る方法と、サプリメントや機能性表示食品から摂る方法が挙げられます。
お茶などの通常の食品と、テアニンを一定量配合した商品とでは、摂取量の把握しやすさや制度上の位置づけが異なります。機能性表示食品には、機能性関与成分の量や一日当たりの摂取目安量の表示が必要です。(※6)
なお、すべてのサプリメントが機能性表示食品に該当するわけではありません。手に取る際は、商品の表示を確認しましょう。
お茶類から摂取する
玉露や緑茶、紅茶などから、テアニンを摂ることができます。ただし、テアニンの量は茶葉の種類や栽培・抽出条件などによって変わります。(※4)
そのため、「お茶を何杯飲めば研究で使われた量になる」といった換算はできません。
また、お茶から摂る場合は同時にカフェインも摂ることになります。テアニンだけでなく、カフェインの摂取量にも注意しましょう。
機能性表示食品やサプリメントから摂取する
L-テアニンを機能性関与成分とする機能性表示食品もあります。消費者庁の調査資料には、L-テアニン200mgを一日摂取目安量とする商品の例が掲載されています(※9)。
ただし、200mgは一般的に推奨されているテアニンの摂取量ではありません。あくまで調査資料に掲載された商品の一例です。
テアニンの摂取量を考えるときのポイント

テアニンには、公的に定められた摂取量の基準がありません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、テアニンの推奨量や目安量、耐容上限量(過剰摂取による健康障害を防ぐために設定される量)のいずれも設定されていません(※10)。
研究ではさまざまな量が使われているほか、機能性表示食品には200mg/日という商品例もあります。ただし、どちらも公的な推奨量ではありません。
研究で使われた量と商品の摂取目安量は、分けて考える必要があります。食品に含まれる量についても同様です。
商品に記載された摂取目安量を確認する
サプリメントなどを利用する場合は、商品に記載された摂取目安量と注意事項を確認することが基本です(※11)。摂取目安量は商品によって異なります。
目安量を超えて摂れば、より高い効果が得られるものでもありません。商品の摂取目安量は、あくまでその商品についての目安であり、テアニンの公的な推奨量ではない点に注意してください。
お茶の場合はカフェイン量にも注意する
お茶からテアニンを摂る場合は、カフェインの量にも注意が必要です。農林水産省が日本食品標準成分表をもとに示しているカフェイン量は、次のとおりです(※12)。
浸出条件がそれぞれ異なるため、「玉露はせん茶の○倍」のように単純に比較することはできません。お茶の種類や淹れ方によってカフェイン量が変わることも、覚えておくとよいでしょう。
テアニンを摂取するときの注意点

テアニンの安全性は、摂取量や摂取期間を踏まえて考える必要があります。消費者庁は、健康食品について、過剰な摂取が健康に害を及ぼす場合もあるとしています。(※6)
また、テアニンには耐容上限量が設定されていませんが(※10)、上限なく摂取してよいという意味ではありません。
健康食品を利用する場合は表示された摂取目安量や注意事項を守ることが基本です。
カフェインの摂り過ぎに注意する
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、カフェイン摂取量が増えると深い睡眠の減少や総睡眠時間の短縮なども報告されています。(※13)
同ガイドでは、1日400mgを超えるカフェインの摂取で夜に眠りにくくなる可能性があるとされています。また、夕方以降に100mg以上のカフェインを摂ると、寝つきが悪くなるなどの影響が出るとされています。
そのため、夕方以降はカフェインを含む飲み物を控え、麦茶など茶葉を使っていない飲み物に置き換える方法も紹介されています。
子ども、妊娠中・授乳中の方、カフェインに敏感な方などは、特に摂取量に注意しましょう。
サプリメントは摂取目安量を守る
サプリメントを利用する場合は、表示された摂取目安量や注意事項を守ることが大切です(※14)。
錠剤やカプセル状の製品を複数組み合わせて使ったり、自己判断で医薬品と一緒に使ったりすることも避けましょう。体調に異変を感じたときは摂取を中止し、医師や薬剤師などの専門家に相談してください。
テアニンを含む食品や飲み物を毎日の生活に上手に取り入れよう

テアニンを取り入れる方法は、目的や生活スタイルに合わせて選びましょう。普段の飲み物から取り入れたい方は、玉露や緑茶などのお茶が選択肢になります。摂取量を確認したい方は、表示のある機能性表示食品やサプリメントを選ぶ方法もあります。
お茶を楽しむ際は、カフェインの量や飲む時間帯に気を配りましょう。夕方以降はカフェインを控え、カフェインが少なくなる水出しの緑茶や、茶葉を使っていない麦茶に置き換えるのも一つの方法です。
テアニンは睡眠への効果が確立した成分ではありません。消費者庁は、健康の維持・増進の基本は、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養であるとしています(※14)。
テアニンを含む食品や飲み物も、こうした生活習慣を整える選択肢の一つとして、無理なく続けられる方法で取り入れてみましょう。
参考文献
- 農林水産省「味わいや香りもさまざまなお茶の種類:農林水産省」
- J-STAGE「各茶種用チャ品種の一番茶及び秋芽の個別アミノ酸含量の特徴」
- J-STAGE「茶系飲料に含まれるテアニンの定量と抗酸化作用の評価」
- 農研機構「各種機能性成分を短時間・効率的に抽出できる給茶機」
- テアニンを含む食べ物や飲み物はの参考資料
- J-STAGE「茶系飲料に含まれるテアニンの定量と抗酸化作用の評価」
- 消費者庁「機能性表示食品の今後について(0904消費者庁資料)_一部修正」
- J-STAGE「テアニンを含む食べ物や飲み物はに関する論文」
- 農林水産省「緑茶の美味しさと機能性を両立する「水出し緑茶」:農林水産省」
- 消費者庁「令和6年度機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する買上調査報告書」
- 厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」
- 消費者庁「保健機能食品について」
- 農林水産省「カフェインの過剰摂取について:農林水産省」
- 厚生労働省「睡眠対策」
- 消費者庁「健康食品(一般の方向け)」
- 各茶種用チャ品種の一番茶及び秋芽の個別アミノ酸含量の特徴 | NDLサーチ
