
GABAは血圧を下げる?高めの血圧に働く仕組みと摂取量を解説
健康診断で「血圧が少し高めですね」と言われ、食生活を見直そうと考えている方はいるのではないでしょうか。
そのような方で、「GABAは血圧によい」と耳にし、本当に効果が期待できるのか気になっている方もいるでしょう。
GABA(γ-アミノ酪酸)は、私たちの体内にも存在するアミノ酸の一種で、自律神経の働きに関わる成分として知られています。(※1)
近年では、高めの血圧を持つ方を対象とした研究や、機能性表示食品の届出を通じて血圧への働きが報告されています。
ただし、GABAは医薬品ではなく、摂取すれば血圧が下がるわけではありません。また、期待できる働きや摂取量は、研究内容や商品によって異なります。
この記事ではGABAが血圧に働く仕組みや研究結果、目安となる摂取量やGABAを含む食品、日常生活で取り入れたい血圧対策について詳しく解説します。
高血圧の予防や生活習慣の見直しを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
※1 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html
GABAは血圧を下げる?研究で報告された効果

GABAは、高めの血圧が気になる方を対象とした研究が数多く行われており、一定の条件下で血圧に働きかける可能性が報告されています。(※2)
また、GABAを関与成分とする機能性表示食品の販売も活発です。ここでは、研究結果と機能性表示食品制度について解説します。
※2 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html
12週間の継続摂取で血圧への働きが報告されている
高めの血圧の方を対象とした臨床試験では、GABAを毎日継続して摂取した結果、収縮期血圧や拡張期血圧に改善がみられたと報告されています。
特に、約12週間継続して摂取した試験では、血圧が正常高値または軽度に高い方で血圧の低下が確認された例がありました。(※3)
一方で、これらの結果は特定の対象者や摂取条件で得られたものであり、すべての方に同様の効果が現れるとは限りません。
年齢や健康状態、生活習慣などによって効果には個人差があります。そのため、GABAは高血圧を治療するものではなく、健康的な生活習慣の一つとして取り入れることが大切です。
※3 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html
消費者庁に機能性表示食品として届け出られている
GABAを関与成分とした食品には、消費者庁へ機能性表示食品として届け出られている商品があります。
機能性表示食品とは、事業者の責任において科学的根拠を示し、「血圧が高めの方の血圧を下げる」「仕事や勉強による一時的なストレスを軽減する」といった機能性を表示できる制度です。
ただし、この制度は事業者が科学的根拠を届け出る仕組みであり、消費者庁が個別の商品について有効性や安全性を審査・保証する制度ではありません。
そのため商品を選ぶ際は、表示内容だけでなく、届出番号や科学的根拠もあわせて確認するとよいでしょう。
GABAが血圧に働く仕組み

GABAが血圧に働く理由について、「なぜ血圧が変化するのだろう」と疑問に思う方もいるでしょう。
GABAは、私たちの体内にも存在するアミノ酸の一種で、神経伝達に関わる成分です。研究では、自律神経の働きに関与することで、血圧に影響を与える可能性が示唆されています。(※4)
ただし、その作用の仕組みは解明されているわけではありません。複数のメカニズムが考えられており、研究が続けられています。
以下は、現在の研究で考えられている代表的な仕組みです。
※4 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/s/cssc01/
交感神経の高ぶりを抑えて心拍を落ち着かせる
私たちの血圧は、自律神経の働きによって常に調整されています。ストレスや緊張が続くと交感神経が優位になり、心拍数の増加や血管の収縮が起こりやすくなるためです。
その結果、一時的に血圧が上昇することがあります。GABAは、自律神経のバランスに関与することで、こうした状態に働きかける可能性が報告されています。
ただし、作用の現れ方には個人差があり、同じ変化が生じるわけではありません。
血管が広がり血液が流れやすくなる

血圧は、心臓から送り出される血液量だけでなく、血管の収縮や拡張の状態によっても変化します。
GABAは、自律神経への作用に加え、血管の働きに関わる仕組みを通して血圧へ影響する可能性があると考えられています。
具体的には、血管の収縮に関わる仕組みや血圧調節に関与する酵素(ACE)への影響などです。
一方で、これらは現在も研究が続けられている分野であり、GABAが直接血管を広げることが明確に証明されているわけではありません。
そのため、GABAは医薬品のように血圧をコントロールする成分ではなく、健康的な生活習慣とあわせて取り入れることが大切です。
血圧が気になる人向けGABAを多く含む食品

GABAはサプリメントだけでなく、普段の食事から摂取することもできます。特定の食品に多く含まれており、毎日の食生活に取り入れやすい点が特徴です。
ただし、食品に含まれるGABAの量は品種や栽培方法、加工方法などによって異なります。また、一般的な食品だけで機能性表示食品と同程度のGABAを毎日摂取することは難しい場合もあります。
以下は、GABAを含む食品と、手軽に取り入れる方法です。
発芽玄米やトマトやキムチに多く含まれる
GABAは、発芽玄米やトマトやキムチをはじめ、じゃがいも・なす・かぼちゃなどの野菜に含まれています。
特に発芽玄米は、発芽の過程でGABAが増えることが知られており、日常の主食として取り入れやすい食品の一つです。
また、茶葉や一部の豆類などにもGABAが含まれています。さまざまな食品を加えることで、無理なく摂取量を増やしやすくなるでしょう。
ただし、食品中のGABA含有量にはばらつきがあるため、特定の食品だけを多く食べれば十分な量を摂取できるとは限りません。
栄養バランスのよい食事を基本としながら、継続して取り入れることが大切です。
GABA表示の飲料や漬物で手軽に補える

食品からとる時間が確保しにくい方には、GABA表示のある飲料や漬物を活用する方法もあります。
パッケージにGABAの含有量が表示された商品を選ぶことで、摂取量を把握しながら続けやすくなります。
忙しい生活の合間でも、こうした商品を加えることで手軽に補いやすくなるはずです。外出先や職場でも入手しやすい商品を選ぶことが、継続の負担を減らすポイントになります。
血圧対策に効果的なGABAの摂取量

GABAを取り入れる際、「どれくらい摂ればよいのだろう」と疑問に思う方もいるでしょう。
GABAには、厚生労働省が定める推奨摂取量はありません。
一方で、高めの血圧を対象とした研究や機能性表示食品では、一定量を毎日継続して摂取することで血圧への働きが報告されています。(※5)
以下は、現在の研究や機能性表示食品を踏まえた摂取量の考え方と、無理なく続けるためのポイントです。
※5 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/s/cssc01/
1日12.3ミリグラムを目安にとる
GABAは1日あたり12.3ミリグラム程度を目安にとることが望ましいとされています。(※6)この量を継続してとった場合に、高めの血圧への働きが報告されているためです。
食品からとる場合には、複数の食材を加えることで目安量に近づけやすくなります。単品の食材だけに頼らず、日々の献立で少しずつ摂取する意識が続けやすさにつながるでしょう。
含有量は食材の産地や調理方法によって変わる場合があるため、複数の食品を取り入れておくと安定して摂取しやすくなります。
※6 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/s/cssc01/
朝食と夕食に分けて毎日補う

GABAは、一度に多く摂取したからといって、すぐに血圧への働きが高まるわけではありません。
血圧への働きを報告した研究の多くでは、数週間から12週間程度、毎日継続して摂取した結果が評価されています。そのため、無理のない範囲で継続することが重要です。
摂取するタイミングに決まったルールはありません。朝食時や夕食時など、自分が続けやすい時間帯に取り入れると、習慣化しやすくなります。
また、サプリメントや機能性表示食品を利用する場合でも、表示されている摂取目安量を超えて摂取してもより高い効果が得られるとは限りません。
表示内容を確認し、適量を守りながら継続しましょう。
GABAとあわせて行いたい血圧対策

GABAを取り入れることは、高めの血圧が気になる方の選択肢の一つです。しかし、血圧は食事や運動・睡眠・体重管理など、さまざまな生活習慣の影響を受けます。
そのため、GABAだけに頼るのではなく、生活習慣全体を見直すことが大切です。
以下は、日本高血圧学会でも推奨されている代表的な血圧対策です。
1日の食塩を6グラム未満に抑える
塩分を摂り過ぎると、体内のナトリウムが増え、水分をため込みやすくなります。その結果、血液量が増加し、血圧の上昇につながることがあります。
日本高血圧学会の提示する目標は、高血圧の方の食塩摂取量を1日6g未満にすることです。(※7)また、高血圧でない方でも、塩分を控えめにすることは血圧管理に役立つと考えられています。
減塩を続けるには、調味料を量って使う・だしや香辛料・香味野菜・かんきつ類などを活用して味に変化をつけるなどがおすすめです。
外食や加工食品は塩分が多くなりやすいため、栄養成分表示を確認する習慣をつけることも役立ちます。
※7 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html
1日20分のウォーキングを週5日行う
適度な運動を継続した場合に、血管の働きが整い血圧が上昇しにくい状態を保ちやすくなります。
1日20分程度のウォーキングを週5日行うことを目安にすると、無理なく続けやすいでしょう。通勤時に一駅分歩くなど、日常生活に組み込む工夫も取り入れやすい方法です。
運動の強度を急激に上昇させるのではなく、体調に応じて少しずつ時間を延ばしていくことが継続の鍵になります。
血圧と睡眠の深い関係

食事や運動に比べると、睡眠と血圧の関係は見落とされがちです。しかし、睡眠不足や睡眠の質の低下は自律神経の働きやホルモンバランスに影響を与え、血圧にも関係すると考えられています。
実際に、高血圧の予防や改善では食事や運動だけでなく、十分な睡眠を確保することも重要な生活習慣の一つとされています。
以下は、睡眠と血圧の関係、そして睡眠の質を高めるために取り入れやすい工夫です。
睡眠が6時間未満だと高血圧のリスクが上がる
睡眠時間が短い状態や睡眠の質が低い状態が続くと、高血圧のリスクが高まる可能性があることが報告されています。(※8)
睡眠不足になると交感神経が優位な状態が続きやすくなり、血圧が十分に下がらない状態が続くことがあります。
必要な睡眠時間には個人差がありますが睡眠時間だけでなく、十分な休息が取れているか、日中に強い眠気がないかといった睡眠の質にも目を向けることが大切です。
いびきが大きい、睡眠中に呼吸が止まると指摘されたことがある、日中の強い眠気が続くといった場合は睡眠時無呼吸症候群が関係している可能性もあります。医療機関へ相談することも検討しましょう。
※8 https://gmc.kumamoto.jp/hypertension/sleep-deprivation-and-high-blood-pressure/
就寝1時間前からスマートフォンの画面を見ない

就寝前にスマートフォンやタブレット、パソコンなどの画面を長時間見ると強い光の刺激によって寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりすることがあります。(※9)
そのため、就寝前はできるだけスマートフォンの使用を控え、心身をリラックスさせる時間をつくることがおすすめです。
例えば、ぬるめのお風呂に入る・軽いストレッチをする・読書をする・落ち着いた音楽を聴くなどです。自分に合ったリラックス方法を取り入れると、眠りにつきやすくなるでしょう。
毎日同じ時間に就寝・起床することも、生活リズムを整え、睡眠の質の向上につながります。
※9 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001313357.pdf
血圧が気になる人がGABAをとるときの注意点

GABAは食品にも含まれる成分であり、多くの方が日常的に摂取しています。一方で、機能性表示食品やサプリメントを利用する場合は、摂取方法や健康状態によって注意が必要です。
特に高血圧の治療を受けている方や薬を服用している方は、自己判断で摂取を始めるのではなく、医師や薬剤師へ相談したうえで取り入れることが大切です。
ここでは、GABAを取り入れるために知っておきたいポイントを紹介します。
1日の目安量を超えて一度に大量にとらない
GABAは、多く摂取すればするほど血圧への働きが高まるとは確認されていません。
そのため、サプリメントや機能性表示食品を利用する場合は、パッケージなどに表示されている1日の摂取目安量を守ることが大切です。
また、複数のGABA配合商品を併用すると、意図せず摂取量が多くなる可能性があります。複数の商品を利用する場合は、配合量を確認しながら取り入れましょう。
体調に異変を感じた場合は使用を中止し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
降圧薬を服用中は医師や薬剤師に相談する
高血圧の治療で降圧薬を服用している方は、GABAを配合したサプリメントや機能性表示食品を利用する前に、医師または薬剤師へ相談することをおすすめします。
GABAを含む食品は医薬品ではありませんが、健康状態や服用している薬の種類によっては、摂取の可否や注意点が異なる場合があります。
自己判断で治療を中断したり、医薬品の代わりとして利用したりすることは避けましょう。高血圧の治療では、医師の指示に従いながら生活習慣の改善を続けることが基本です。
血圧と睡眠を内側から支える習慣
血圧や睡眠の状態は、一つの対策だけで大きく変わるものではありません。食事や運動、睡眠など日々の生活習慣を少しずつ見直し、無理なく続けることが大切です。
GABAを取り入れる場合も、毎日の生活で継続できる方法を選ぶことで、習慣として続けやすくなります。
以下は、食生活と毎日の習慣づくりの観点から、取り入れやすい方法です。
納豆や漬物などの発酵食品を毎食に組み込む
発酵食品にはGABAが含まれているものがあり、毎食に組み込むことで無理なく摂取量を増やしやすくなります。
納豆や漬物は日本の食卓に馴染みがあるため、特別な準備をせずに取り入れやすい点も特徴です。
副菜として一品加えるだけでも、継続的な摂取につながりやすくなります。少しずつ食事に加えていくことで、無理のない習慣として定着しやすくなるでしょう。
冷蔵庫に常備しておくことで、忙しい日でも取り入れやすくなります。
GABA配合の食品を食生活に取り入れる
忙しい朝に食事の準備が難しい場合には、トマトや発酵食品などGABA配合の食物を習慣として取り入れる方法もあります。
毎日決まったタイミングで摂取することを習慣化した場合に、続けやすさにつながりやすくなるでしょう。生活の一例として、無理のない範囲で取り入れてみることが大切です。
GABAを血圧対策の習慣に取り入れよう

GABAは自律神経の働きに関与する成分として知られており、高めの血圧の方を対象とした研究では、血圧への働きが報告されています。(※10)
また、GABAを関与成分とする機能性表示食品も販売されており、日々の健康管理をサポートする選択肢の一つです。一方で、GABAは医薬品ではなく、高血圧を治療するものではありません。
期待される働きには個人差があり、十分な効果を発揮させるためには、継続して取り入れることやバランスのよい食事・適度な運動・十分な睡眠など生活習慣全体を見直すことが大切です。
食事から取り入れる場合は、発芽玄米やトマトなど、GABAを含む食品を日々の献立に取り入れてみましょう。
また、忙しく食事だけで補うことが難しい場合は、機能性表示食品やGABA配合の飲料を活用する方法もあります。
その際は、表示されている摂取目安量を守り、自分の生活スタイルに合った方法を選ぶことが継続につながります。
高めの血圧は、自覚症状がないまま進行することも少なくありません。健康診断などで血圧が気になり始めた方は、まずは毎日の生活習慣を見直し、その一つとしてGABAを無理のない範囲で取り入れてみてはいかがでしょうか。
※10 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html
