
乳酸菌と腸内環境・免疫の関わりは?低下する原因やおすすめの食品、生活習慣を解説
季節の変わり目や疲れがたまった時期に体調を崩しやすいのは、体を守る免疫の働きが関わっている場合が少なくありません。免疫の状態は加齢やストレス、生活習慣の影響を受けやすいため、日々の過ごし方によって強くも弱くも変化します。
近年は腸内環境との関わりが注目され、乳酸菌を含む食品への関心も高まっていますが、それだけで体調が整うわけではありません。大切なのは、食事・運動・睡眠をあわせて見直し、無理なく続けられる習慣を少しずつ積み重ねていくことです。
この記事では免疫が低下する原因から、乳酸菌を含む食品や健康維持に役立つ生活習慣までを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
免疫とは

免疫とは、ウイルスや細菌などの体に好ましくない相手から私たちの体を守るために備わった、生まれもった 防御の働き です。この働きがあるおかげで、さまざまな刺激を受けても健康を保ちやすく、体調の変化にも対応しやすくなります。
免疫は全身の細胞や器官が連携して成り立っており、生活習慣や体調の変化に左右されやすい特徴を持ちます。ここでは、免疫がどのように働くのかという仕組みと、体のなかで果たす役割を順番に整理していきましょう。
免疫の仕組み
免疫の仕組みは大きく2つの段階に分かれており、それぞれが役割を分担しながら私たちの体を守っています。
1つ目は生まれつき備わっている自然免疫で、皮膚や粘膜が異物の侵入を防ぎ、入り込んだ相手には特定の細胞がすばやく対応します。
2つ目は一度出会った相手を記憶し、次に同じ相手と出会ったときに効率よく対応する働きです。自然免疫がすばやい初期対応を担い、その後に働く記憶の仕組みが、より的確な守りを受け持ちます。(※1)
この二段構えによって多様な相手に対応できるため、まずは2つの守りが連携して働く基本を押さえておきましょう。
※1:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000167043.pdf
免疫の役割
免疫の役割は、外から入る異物への対応だけでなく、体内で日々生まれる不要な細胞を見分けて取り除くことにもおよびます。
こうした獲得免疫の働きによって、同じ相手と再び出会ったときには、より効率よく対応できる状態が整えられます。(※2)免疫が適切に働くことは、体調をくずしにくい毎日を送るための大切な支えです。
一方でこの役割は年齢や生活習慣の影響を受けやすく、常に一定に保たれているわけではありません。だからこそ日々の過ごし方を通じて、免疫が働きやすい状態を保つ意識が欠かせません。
※2:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000167043.pdf
免疫力が低下する原因

免疫の働きは一定ではなく、加齢やストレス、生活習慣の乱れといった要因によって低下しやすくなります。なかでもストレスの影響は大きく、自律神経や内分泌、免疫のバランスが崩れやすくなります。
原因をあらかじめ知っておくことは、日々の対策を無理なく考えるための第一歩です。ここでは、免疫の働きが下がる原因を、体の変化と生活習慣という2つの視点から整理していきましょう。
加齢・ストレスによる体の変化
年齢を重ねると体を守る機能は少しずつ変化し、免疫に関わる細胞の働きも若い頃と同じ状態を保ちにくい傾向です。さらに強いストレスが続くと、自律神経や内分泌のバランスが乱れ、免疫の働きにも影響がおよびます。
厚生労働省の情報でも、強いストレスが続くと自律神経のバランスが乱れ、心身の不調につながりやすいと示されています。(※3)
加齢そのものは避けられませんが、ストレスとの向き合い方は自分の工夫次第で変えられる部分です。日頃から意識して休息をとり、気分転換の時間を持つことが、体調を保つ助けになります。
※3:https://kokoro.mhlw.go.jp/stress/
食事・運動・睡眠など生活習慣の乱れ

免疫の働きは毎日の生活習慣とも深く結びついており、偏った食事を続けると栄養素が不足し、体調を保ちにくくなります。運動不足や睡眠の乱れも、体のリズムをくずして免疫の働きに影響しやすい要因です。
厚生労働省の睡眠に関するガイドでも、十分な睡眠時間の確保が心身の健康維持に欠かせないと示されています。(※4)
反対に、栄養・運動・睡眠のバランスが整うことは、体が本来の力を発揮するための土台です。1つを完璧にするより、3つを少しずつ見直すほうが続けやすく、無理のない習慣づくりにつながります。
※4:https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
ここまで見てきたように、免疫の働きは食事や運動、睡眠といった毎日の習慣と深く関わっています。原因がはっきりしない不調ほど、特別な対策よりも生活リズムを無理なく整える積み重ねが大切です。
乳酸菌が健康維持に役立つ理由

乳酸菌が健康維持に役立つ理由は、私たちの腸内環境との深い関わりにあります。腸内には多種多様な細菌が生息しており、その割合が体調や免疫の働きにも関わっています。
乳酸菌は、糖から乳酸をつくることで腸内の善玉菌が働きやすい状態づくりを助ける菌です。ここでは、乳酸菌が腸内環境や免疫機能にどのように関わるのかを、2つの側面から見ていきましょう。
<h3>腸内環境のバランス維持に関わる</h3>腸内には体によい働きをする菌とそうでない菌が共存しており、厚生労働省の情報サイトによると、健康のためには善玉菌の割合を増やすことが大切とされています。(※5)
乳酸菌は糖から乳酸をつくって腸内を弱酸性に保ち、好ましくない菌が増えにくい状態づくりを助けます。この状態を保つには一度にまとめて摂るよりも、毎日の食事から少しずつ続けて摂ることが効果的です。
発酵食品やヨーグルトなど身近な選択肢がそろっているため、生活に合うものを選びやすいのも利点です。特定の種類に偏らず、いろいろな食品から無理なく摂る工夫が、続けやすさにつながります。
※5:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2211/spe1_01.html
腸内環境を通じて免疫機能をサポートする
腸は栄養を吸収するだけでなく、体を守る細胞が集まる場所としても知られる大切な器官です。そのため腸内環境と免疫の関わりが近年注目されており、腸内のバランスが整うことは体全体の調子を保つ助けになると考えられています。(※6)
あくまで腸内環境を整える習慣の一部としてとらえ、食品からバランスよく摂ることが大切です。
※6:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2211/spe1_01.html
乳酸菌を含む主な食品

乳酸菌は特別な食材でなくても、毎日の食事で口にする身近な食品から手軽に摂ることができます。代表的なものとしては、ヨーグルトや乳酸菌飲料、漬物やキムチなどの発酵食品が挙げられます。
含まれる菌の種類や特徴は食品ごとに異なるため、体調や好みに合わせていくつかを組み合わせて楽しむのがおすすめです。ここでは、日々の食卓に取り入れやすい乳酸菌を含む食品を、2つのグループに分けて見ていきましょう。
ヨーグルト・乳酸菌飲料
ヨーグルトや乳酸菌飲料は、乳酸菌をとりたいときに手に取りやすく、続けやすい代表的な食品です。(※7)発酵の過程で乳酸菌が働くことで、独特の風味とやわらかな口当たりが生まれます。
朝食やおやつの時間に無理なく取り入れやすく、毎日の習慣として続けやすいのも魅力です。ただし糖分の高い商品を選び続けると、エネルギーのとりすぎにつながる場合があります。
甘さ控えめのものを選んだり果物と組み合わせたりする工夫で、無理なくおいしく続けられるのが利点です。
※7:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2211/spe1_01.html
漬物・キムチなどの発酵食品

漬物やキムチ、ぬか漬けといった発酵食品にも、乳酸菌は豊富に含まれています。これらは野菜を発酵させてつくるため植物性乳酸菌を摂ることができ、ごはんのお供や副菜として食卓に取り入れやすい食品です。(※8)
種類が豊富で味わいの幅も広いため、飽きずに長く続けやすいのもうれしい特徴です。一方で漬物やキムチには塩分を含むものもあるため、食べすぎには気をつける必要があります。量を意識しながらほかの食品と組み合わせて摂ると、栄養のバランスも保ちやすくなります。
※8:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2211/spe1_01.html
乳酸菌のほかに健康維持に役立つ食品

健康維持に役立つ食品は乳酸菌だけではなく、体をつくる材料となる栄養素や、善玉菌を助ける成分も欠かせません。特に、たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維は、日々の体調を支えるうえで大切な栄養素です。
これらを乳酸菌とあわせて摂ることで、食事全体の栄養バランスがいっそう整いやすくなります。ここでは、乳酸菌とあわせてとりたい食品を、2つのグループに分けて見ていきましょう。
タンパク質・ビタミン・ミネラルを含む食品
たんぱく質は筋肉や臓器など体をつくる基本の材料となり、肉・魚・卵・大豆製品などから毎日摂りたい栄養素です。
ビタミンやミネラルは体の調子を整えるうえで欠かせず、厚生労働省が定める食事摂取基準でも健康維持に重要と位置づけられています。(※9)次のような食品を組み合わせると、不足しがちな栄養素を無理なく補いやすくなります。
たんぱく質:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品(筋肉や臓器をつくる土台)
ビタミン:緑黄色野菜・果物・レバー(体の調子を整える働きを助ける)
ミネラル:海藻・小魚・大豆製品・ナッツ(骨や血液の材料になる)
1つの食品に偏らず、主食・主菜・副菜を揃える意識が、栄養バランスを保つ近道です。
※9:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
食物繊維・オリゴ糖を含む食品

食物繊維やオリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌が働きやすい腸内環境を整える役割を担います。
厚生労働省の情報サイトによると、食物繊維は野菜・海藻・豆類・果物などに豊富に含まれる栄養素です。(※10)オリゴ糖は次のような身近な食材から手軽に摂ることができます。
食物繊維:野菜・海藻・豆類・果物・きのこ(便通を整え、善玉菌のエサになる)
オリゴ糖:玉ねぎ・ごぼう・バナナ・大豆・はちみつ(善玉菌を増やす働きを助ける)
これらを乳酸菌と組み合わせて摂ると、善玉菌の働きをいっそう後押ししやすくなります。特定の食品に集中させず、いろいろな食材を少しずつ取り入れるのが続けるコツです。
※10:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
乳酸菌や発酵食品、たんぱく質やビタミンをバランスよく摂ることは、健康を保つ基本といえます。
免疫力を維持する生活習慣

免疫の働きを保つには、食事の内容だけでなく生活習慣全体を見直すことが大切です。栄養バランスの整った食事に加えて、適度な運動や質のよい睡眠が、体の調子を内側から支えてくれます。
どれか1つに偏らず複数の習慣をゆるやかに整えることで、無理なく長く続けやすくなります。ここでは、免疫の働きを保つうえで意識したい生活習慣を、食事と運動・睡眠の面から見ていきましょう。
栄養バランスのよい食事を心がける
体調を整える土台になるのは栄養バランスのとれた食事であり、主食・主菜・副菜を揃えると必要な栄養素を無理なく補いやすくなります。
厚生労働省が定める食事摂取基準でも、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることの大切さが示されています。(※11)
特定の食品に偏ると栄養が不足したり過剰になったりするため、乳酸菌を含む食品や食物繊維の豊富な野菜も日々の食事に取り入れるのがおすすめです。
毎食を完璧にする必要はなく、一日全体でバランスを整える意識を持つことが、無理なく習慣化する近道です。
※11:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
適度な運動と良質な睡眠を習慣化する
適度な運動は体の調子を整えるうえで役立ち、厚生労働省の運動ガイドでは、成人に次のような目安がすすめられています。(※12)
歩行などの身体活動を1日60分程度(約8000歩)
息が弾む有酸素運動や筋力トレーニングを週2〜3日
あわせて質のよい睡眠も欠かせず、厚生労働省の睡眠ガイドでは、成人は6時間以上を目安に睡眠で休養がとれている感覚を大切にするとよいと示されています。(※13)
運動と睡眠は互いに関わり合うため、両方を意識することが体のリズムを整えるうえで効果的です。まずは自分の生活に合わせて、無理のない範囲から少しずつ始めてみましょう。
※12:https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
※13:https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
乳酸菌を摂取する際のポイント

乳酸菌を毎日の習慣として上手に取り入れるには、いくつかのポイントを押さえておくと役立ちます。乳酸菌は毎日の食生活を支える存在ですが、それだけに頼りきるのは避けたいところです。
生活習慣全体のなかに無理なく位置づけ、難しく考えず続けやすい方法を選ぶことが大切になります。ここでは、乳酸菌を摂る際に意識したい2つのポイントを見ていきましょう。
乳酸菌だけに頼らず生活習慣全体を整える
乳酸菌は健康維持に役立つ食品成分ですが、それだけで体の調子がすべて整うわけではありません。免疫の働きは、食事・運動・睡眠・ストレスへの向き合い方など、さまざまな要素が関わり合って成り立っています。(※14)
乳酸菌を摂ることばかりに意識が向くと、ほかの大切な習慣がおろそかになりかねません。大切なのは、乳酸菌を含む食品をバランスのとれた生活の一部として取り入れる考え方です。
特定の食品に過度な期待をかけるより、全体を少しずつ整えるほうが、結果として体調を保ちやすくなります。
※14:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000167043.pdf
毎日継続して摂取する
乳酸菌を取り入れるうえで何より意識したいのが、毎日の継続です。とり入れた乳酸菌は腸にすみ続けるとはかぎらないため、一度にまとめて摂るよりも、毎日少しずつ続けるほうが役立ちます。(※15)
ヨーグルトや発酵食品、乳酸菌飲料などを、無理のない範囲で食生活に組み込むとよいでしょう。
朝食に一品加えたり飲み物として取り入れたりと、習慣にしやすい方法を選ぶと自然に続けられます。がんばりすぎず生活のリズムに合わせて続ける工夫が、健康維持への近道になります。
※15:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2211/spe1_01.html
乳酸菌や生活習慣を取り入れて健やかな毎日を目指そう

免疫の働きは、加齢・ストレス・生活習慣の乱れなど、さまざまな要因の影響を受けやすい状態です。だからこそ、食事・運動・睡眠をゆるやかに整えることが、健やかな毎日を支える基盤になります。
乳酸菌を含む食品は腸内環境を整える習慣の一部として役立ちますが、それだけに頼らず、バランスのとれた生活のなかに組み込むことが大切です。無理なくできることを少しずつ積み重ねることが、健やかな毎日を続けるうえで役立ちます。
毎日の食事に発酵食品を一品加えたり、就寝前の時間を整えたりと、始め方はそれぞれで構いません。一度にすべてを変える必要はなく、今日できることから選んで、健やかな毎日への一歩を踏み出してみてください。
毎日の食事や運動、睡眠を少しずつ整えていくことは、健やかな体調を保つ確かな近道です。乳酸菌をはじめとする食品も、毎日続けることで暮らしのなかに根づいていきます。
厚生労働省『健康づくりのための睡眠ガイド2023 』
