
睡眠不足で低体温になるのはなぜ?冷えを招く自律神経の乱れとケア 改善方法を解説
冷え性は体質だから仕方がないと思われがちですが、実は睡眠不足が関係している可能性があります。
睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなり、低体温や冷えを招く恐れがあります。
さらに、体が冷えた状態では質のよい睡眠を取りにくく、より眠りにくい悪循環に陥るケースも少なくありません。
本記事では、睡眠不足によって低体温や冷えが起こる仕組みをわかりやすく解説します。毎日の生活で取り入れやすいケア方法も紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
睡眠不足で低体温になるのはなぜ?基本の仕組み

睡眠不足と低体温は、一見すると関係がないように感じるかもしれません。しかし、睡眠と体温調節は密接に結び付いています。
まずは、睡眠不足がどのような流れで低体温や冷えにつながるのか、その仕組みをくわしく見ていきましょう。
睡眠不足が自律神経を乱す
自律神経とは、呼吸や心拍など生命維持に必要な機能をコントロールする神経です。
自律神経には、日中の活動を支える交感神経と、体を休ませる副交感神経の2種類があります。
通常は昼間に交感神経が優位となり、夜になると副交感神経が優位へ切り替わることで、自然な眠気が訪れます。
しかし、睡眠不足が続くと、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行われなくなることも少なくありません。(※1)
例えば、夜遅くまでスマートフォンを見続けたり、仕事や家事で夜更かしが続いたりすると、本来寝る時間になっても交感神経が興奮した状態が続きます。
※1
自律神経の乱れが体温を下げる

私たちの体温は、一日を通して一定ではありません。朝はやや低く、日中は活動に合わせて上昇し、夜になると再び下がることで自然な眠気が生まれます。
人間の体温リズムを調節するのは、脳のなかにある視床下部という部位です。視床下部は自律神経系の中枢として、交感神経と副交感神経のバランスを調節しています。
本来は日中は代謝が活発になり、筋肉や内臓で熱が作られます。しかし、自律神経が乱れることで熱を生み出す働きが低下し、体温が上がりにくくなることが少なくありません。
女性は男性に比べて筋肉量が少ない傾向があり、もともと熱を作る力が弱いため、自律神経の乱れによる影響を受けやすいといわれています。
睡眠不足で血管が縮みやすくなる
睡眠不足による自律神経の乱れは、血管の状態にも影響を及ぼします。
交感神経が優位な状態が長く続くと、体は緊張状態が続いていると判断し、血管が収縮しやすくなります。
血管が細くなると血液の流れが悪くなり、体の隅々まで十分な熱が運ばれにくくなるケースも少なくありません。
特に心臓から遠い手足の指先や足先は血流が滞りやすいため、冷えを強く感じやすい部位です。
低体温と冷えを招く血流の低下

末端の冷えには、血流の低下が深く関係しています。血液は全身に酸素や栄養素を運ぶだけでなく、体内で作られた熱を全身へ届ける役割も担っています。
ここでは、血流の低下によって冷えが起こる仕組みと睡眠との関係についてくわしく見ていきましょう。
血流が悪くなり手足が冷える
私たちの体は、心臓から送り出された血液によって全身へ熱を運んでいます。
しかし、睡眠不足やストレスによって交感神経が優位な状態が続くと、血管は収縮しやすくなり、末端まで十分な血液が流れにくくなります。
特に手足の指先は心臓から遠い位置にあるため、血流の影響を受けやすい部位です。そのため、血液循環が少し低下しただけでも冷えを感じる恐れがあります。
血流が悪くなる原因は、自律神経の乱れだけではありません。筋肉量の少なさやデスクワークなどで長時間同じ姿勢が続くことも、血流低下を招く原因の一つです。
深部体温が下がりにくく寝つきを妨げる
人間は眠るとき、深部体温がゆっくり下がることで自然な眠気を感じます。
深部体温とは、内臓や脳など体の中心部の温度のことです。深部体温は環境の影響を受けにくく、一定に保たれています。(※2)
しかし、眠る直前になると手足の血管が広がり、体のなかにある熱を手足から放出します。この働きによって深部体温が下がり、脳は眠る時間だと認識することが可能です。
しかし、血流が悪い状態では手足の血管が十分に広がらず、体の熱をうまく逃がすことができません。
その結果、深部体温が下がりにくくなり、脳が休息モードへ切り替わりにくくなります。その結果、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりします。
※2
睡眠不足と低体温の悪循環

冷えと寝不足がいつまでも続いて、抜け出せずにいる方もいるでしょう。
この悪循環が続くと、自律神経の乱れはさらに大きくなり、睡眠の質も体温調節機能も回復しにくくなります。
ここでは、冷えと睡眠不足がお互いに影響し合う仕組みについてくわしく見ていきましょう。
冷えて寝つけず眠りが浅くなる
人は眠る前に手足から熱を逃がすことで、深部体温を下げて自然な眠気を感じます。
しかし、手足が冷え切っていると血管が収縮したままになり、熱を十分に放出できません。
そのため、布団に入っても眠気が訪れにくく、眠りたいのに眠れない状態に陥りやすくなります。
また、寝つけたとしても眠りが浅くなり、途中で何度も目が覚めることもあります。さらに、眠りが浅い状態では疲労回復も十分に行われません。
朝起きても体が重く感じたり疲れが取れなかったりすることで、日中の集中力や活動量も低下しやすくなります。
低体温が睡眠不足をさらに深める
低体温の状態が続くと、自律神経は正常なリズムを保ちにくくなります。
本来では夜になると副交感神経が優位になり、心拍数や血圧が下がって体は休息モードへ切り替わります。
しかし、体温が低い状態が続くと、この切り替えがうまく行われません。
その結果、寝つきが悪くなるだけでなく、眠りが浅くなり睡眠時間を十分に確保しても疲れが取れない状態になりやすくなります。
低体温が続くと現れる不調

低体温が長く続くと、体にはさまざまな不調があらわれやすくなります。
「最近なんとなく調子が悪い」「十分寝ても疲れが取れない」と感じている方は、低体温が関係している可能性も考えられます。
ここでは、低体温が続くことで起こりやすい不調についてくわしく見ていきましょう。
だるさや疲れやすさがあらわれる
低体温が続くと、最初に感じやすいのがだるさや疲れやすさです。
私たちの体は、食事から摂取した栄養をエネルギーへ変換することで活動に必要な力を生み出しています。
しかし、体温が低い状態では代謝が低下しやすくなり、エネルギーを効率よく作り出しにくくなることがあります。
そのため、十分な睡眠時間を確保しているつもりでも、朝から体が重く感じたり、少し動いただけで疲れてしまったりすることも珍しくありません。
さらに、血流が悪くなることで筋肉へ酸素や栄養素が届きにくくなり、老廃物も排出されにくくなります。
その結果、だるさや疲れを余計に感じやすくなるケースもあります。
免疫や代謝が落ちやすくなる

低体温が続くと、免疫機能や代謝にも影響を及ぼす可能性があります。
免疫細胞の役割は、体内へ侵入した細菌やウイルスから体を守ることです。
しかし、低体温によって血流が低下すると、免疫細胞が全身へ巡りにくくなり、本来の働きを十分に発揮しにくくなる可能性があります。
そのため、風邪をひきやすくなったり、一度体調を崩すと回復まで時間がかかったりすることがあります。
また、睡眠不足そのものも免疫機能に影響を与えることが知られています。睡眠中には免疫に関わるさまざまな働きが活発になるため、睡眠不足が続くと体の防御機能が十分に働きにくくなります。
さらに、代謝の低下も見逃せません。
代謝とは、食事から摂った栄養をエネルギーへ変えたり、古くなった細胞を新しく入れ替えたりする働きのことです。(※3)
代謝が低下すると消費エネルギーが減少し、むくみやすさや体重の増加につながるケースもあります。
また、代謝が落ちることで肌のターンオーバーにも影響し、肌荒れや乾燥などの美容面の悩みが現れる可能性もあります。
※3
低体温を招く生活習慣

低体温には、毎日の生活習慣が大きく関係しています。
「忙しいから仕方がない」と何気なく続けている習慣が、冷えや睡眠不足を悪化させているかもしれません。
ここでは、低体温につながりやすい代表的な生活習慣について見ていきましょう。
夜更かしや不規則な生活が体温を乱す
夜更かしや不規則な生活は、自律神経のバランスを崩す大きな原因になります。
本来、私たちの体には約24時間周期の体内時計が備わっており、朝は体温が上がって活動モードになり、夜になると体温が下がって眠る準備が始まります。
しかし、就寝時間や起床時間が毎日異なると、体内時計が乱れ、体温調節がうまくいかなくなることも少なくありません。
また、寝る直前までスマートフォンやパソコンを使用している方も要注意です。
画面から出るブルーライトによって脳が昼間と勘違いし、眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられる恐れがあります。
運動不足や栄養の偏りが冷えを招く
運動不足や栄養の偏りは、体の冷えを加速させる恐れがあります。
体温を維持するためには、筋肉で熱を作ることも欠かせません。しかし、運動不足によって筋肉を使う機会が減ると、熱を生み出す力が低下してしまいます。
また、運動不足によって血液を押し戻すポンプ機能も弱まり、手足の冷えがさらに悪化するケースも少なくありません。
食生活も体温維持には重要なポイントです。極端なダイエットや朝食抜きの生活では、体が熱を作るためのエネルギーやたんぱく質が不足しやすくなります。
睡眠不足からくる低体温の対策

低体温(冷え)をケアするには、睡眠の質を高めることと体温調節がスムーズに行える状態をつくることの両方が重要です。
特別なことを始める必要はありません。ここでは、今夜から実践できる具体的な対策を紹介します。
睡眠の質を高めて自律神経のバランスを保つ習慣
低体温(冷え)を意識したケアで重要なのが、睡眠の質を高めることです。
睡眠時間を確保していても、途中で何度も目が覚めたり寝つきが悪かったりすると、自律神経は十分に回復できません。
睡眠の質を高めるためには、生活リズムを整えることが重要です。毎日できるだけ同じ時間に寝起きすると、体内時計が整いやすくなります。
また、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びることも効果的です。
朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、夜には睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されやすくなります。(※4)
日中は適度に体を動かすことも、心地よい眠りやメリハリのある生活リズムを作るうえで重要です。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は血流を促し、夜の自然な眠気につながります。
※4
体を温めてから入眠する

眠る前に体を適度に温めておくことも重要です。人は眠る前に手足から熱を放出し、深部体温を下げることで自然な眠気が訪れます。
そのため、手足が冷え切った状態では体温調節がうまく働かず、なかなか眠れないケースも少なくありません。
例えば、寝る直前まで厚手の靴下を履いて過ごしたり、ひざかけやレッグウォーマーを活用したりするとよいでしょう。
また、カフェインを含まない温かい飲み物を取り入れるのもおすすめです。
就寝前に入浴で体温を整える
睡眠不足による低体温を改善したい方に、ぜひ取り入れてほしい習慣が入浴です。
忙しい日はシャワーだけで済ませてしまう方もいますが、湯船にゆっくりつかることで得られる効果は少なくありません。
37〜40度程度のぬるめのお湯に10〜15分ほどつかると、全身の血流を促し、筋肉の緊張がほぐれやすくなります。(※5)
入浴後は一時的に体温が上がりますが、その後ゆっくりと深部体温が下がるタイミングで自然な眠気が訪れます。
※5
体を温める日中の過ごし方

低体温や冷えを改善するためには、夜の睡眠環境を整えることだけでなく、日中の過ごし方も重要です。
ここでは、忙しい毎日でも無理なく続けられる方法を紹介します。
軽い運動で血流を促す
体を温めるためには、軽い運動で血流を促すのが効果的です。
筋肉は、体内で熱を生み出す熱産生の中心的な役割を担っています。日頃から体を動かす習慣がある方ほど冷えを感じにくい傾向があります。
特に下半身には全身の筋肉の多くが集まっているため、脚を動かすことが血流改善には効果的です。
毎日少しずつでも体を動かす習慣をつくることで、血流が改善し、体温を維持しやすい体づくりにつながります。
湯船につかって芯から温める
低体温や冷えを改善したい場合は、できるだけ湯船につかる時間を作ることをおすすめします。
湯船につかることで全身が均等に温まり、全身のめぐりをスムーズにして、心地よい温まりを感じられるためです。
さらに、ぬるめのお湯にゆっくりつかることで副交感神経が優位になり、心身の緊張が和らぎます。
入浴は冷え対策のみでなく、睡眠の質を高めるうえでも大切なポイントです。
食事や栄養で体の内側から温める習慣

私たちの体は、毎日の食事から摂取した栄養を使ってエネルギーを作り、その過程で熱を生み出しています。
ここでは、体を内側から温めるために意識したい食材や毎日無理なく続けられるケアについて紹介します。
体を温める食材を取り入れる
体を温めるためには、熱を生み出すために必要な栄養素をしっかり摂ることが重要です。
特にたんぱく質は筋肉を作る材料となるだけでなく、食事後に体が熱を生み出す食事誘発性熱産生にも関わっています。(※6)
肉や魚、大豆製品などを毎食バランスよく取り入れることで、熱を生み出しやすい体づくりにつながります。
また、体を温める働きをサポートするとされる食材を組み合わせるのもおすすめです。
例えば、しょうがやにんにくなどは温かい料理に取り入れやすく、寒い季節にも人気の食材です。
※6
毎日無理なく続けられるケアを選ぶ
低体温や冷えを改善するためには、毎日無理なく続けられる習慣を作ることが重要です。
「毎日運動しなければ」「完璧な食事を作らなければ」と気負い過ぎると、長続きしないことも少なくありません。
まずは、できることを一つずつ生活に取り入れていきましょう。
毎日少しずつでも続けられる習慣は、睡眠の質や体温調節を整え、冷えにくい体づくりにつながります。
睡眠の質を整えて低体温と冷えを改善しよう

睡眠不足による低体温や冷えには、自律神経の乱れや生活習慣が大きく関係しています。
睡眠不足によって自律神経のバランスが崩れると、血管が収縮して血流が悪くなります。その結果、手足が冷えやすくなり、体温調節がうまくいかなくなるケースも少なくありません。
さらに、体が冷えることで睡眠の質が低下し、「睡眠不足だから冷える」「冷えるから眠れない」という悪循環に陥りやすくなります。
この悪循環を断ち切るためには、体を一時的に温めるだけではなく、睡眠の質そのものを整えることが重要です。
「最近手足の冷えが気になる」「寝ても疲れが取れない」と感じている方は、まずは今日からできる小さな習慣を始めてみてください。
日々の積み重ねが自律神経のバランスを支え、低体温の改善につながります。
