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睡眠で疲れがとれる理由は?睡眠不足のリスクや睡眠の質をよくする方法も解説

睡眠で疲れがとれる理由は?睡眠不足のリスクや睡眠の質をよくする方法も解説

十分な時間寝ているはずなのに、翌日に体が重い、仕事中に頭が回らないという経験はありませんか。じつはこういった悩みを抱える、働き盛りの社会人は少なくありません。

しかし睡眠不足が慢性化すると、日中のパフォーマンス低下だけではなく、生活習慣病や認知機能の低下 といった深刻なリスクにもつながります。じつは、睡眠時間が足りているかどうかだけではなく、睡眠の質が確保されているかどうかも重要になってくる項目です。

本記事では、なぜ睡眠で疲れが取れるのかというメカニズムから、睡眠の質を高めるための具体的な方法まで順を追って整理していきます。忙しい毎日のなかでも無理なく取り入れられる改善のヒントとして、ぜひ参考にしてください。(※1)

睡眠で疲れがとれる理由

睡眠で疲れがとれる理由は?睡眠不足のリスクや睡眠の質をよくする方法も解説

寝ると疲れがとれる、という感覚は誰もが持っているはずです。しかし、睡眠中に体内で何が起きているのかを具体的に理解している方は少ないかもしれません。

睡眠は単なる休息ではなく、脳と身体が積極的に修復と回復を行う 時間です。そのメカニズムを知れば、睡眠の質を高める重要性も見えてくるはずです。

例えば、睡眠には浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)があります。そして、それぞれの睡眠が異なる役割を担いながら、心身の回復を担っています。

具体的なメカニズムについて、順を追って確認していきましょう。(※2)

成長ホルモンの分泌により身体の修復が進むため

睡眠中、特にノンレム睡眠の時間帯に成長ホルモン が集中して分泌されます。成長ホルモンは子どもの発育だけに関与する成分ではありません。実は大人においても筋肉や細胞の修復、代謝の調整、身体の恒常性維持に関与しています。

成長ホルモンは組織の維持・修復に関与します。しっかり寝たはずなのに疲れが取れないと感じるなら、ノンレム睡眠が十分とれていないことが関係しているかもしれません。(※3)

筋肉の緊張がほぐれるため

厚生労働省によると、レム睡眠 の時間帯には全身の筋肉がゆるんだ状態になっているそうです。日中、私たちの筋肉はデスクワークや立ち仕事、精神的な緊張によって慢性的な緊張状態に置かれています。

睡眠中は、この筋緊張が解放され、身体がエネルギーを節約して深い休息を取れる状態です。そして、睡眠は覚醒中に蓄積した疲労を回復しながらエネルギーを節約する、効率のよい休養のありかたといえます。

ただし、睡眠は心身の休養に重要ですが、肩こり等の改善には個人差があります。(※4)

脳の老廃物が除去されるため

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睡眠中、特にノンレム睡眠の時間帯には、脳内に蓄積した老廃物が排出されることが研究で報告されています。日中の活動によって脳内には代謝産物が生じますが、これらは睡眠中に脳脊髄液の流れを通じて取り除かれクリアリングされています。

例えばアルツハイマー型認知症の原因として、睡眠中の脳内老廃物の排出機構やアミロイドβとの関連が研究されています。ただし、人における長期的影響には未解明な点があります。睡眠不足が続けばこの排出が滞り、 脳内に蓄積するリスク も出てきます。

脳の老廃物除去は、翌日の集中力や判断力、記憶力の回復にも直結している重要な項目です。日中の活動に影響すると考えられています。(※5)

睡眠不足のリスク

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多少の寝不足なら、コーヒーを飲めばなんとかなると思ってる方もいるかもしれません。しかし、睡眠不足が慢性化した場合のリスクは、日中の眠気や集中力の低下だけではありません。

特に睡眠不足が長引くと、眠気を自覚しにくくなる特徴もあり、自分では気付かないうちにパフォーマンスが低下 している状態になることが指摘されています。

現場での判断ミスや生産性の低下が体調のせいだと気付かれにくいのは、こうした背景があるからです。

ここでは、具体的にどのようなリスクがあるのかを確認していきます。

生活習慣病のリスクが高まる

厚生労働省の報告により、慢性的な睡眠不足は糖尿病や高血圧、心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病リスクを高めることが明らかになっています。

睡眠不足が続くと起きるのが、夜間には低下するはずの血圧が高止まりしやすくなる状態です。また、膵臓から分泌されるインスリンが効きにくくなる現象が起き、て同じ食事でも、血糖値が下がりにくくなってきます。

さらに、睡眠不足時にはストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加し、血圧や血糖値の上昇を通じて動脈硬化を促進する可能性も指摘されている現象です。

このように適切な睡眠は、健康維持に関係しています。(※6)

認知機能や集中力が低下する

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睡眠不足が続くと慢性的な眠気や認知パフォーマンスの低下、気分の不安定さなど、生活にさまざまな支障をきたすことが報告されています。さらに、睡眠不足が長引くと出てくるのが、本人は眠気を自覚しにくくなるという特性です。

自分では大丈夫だと思っていても、客観的には集中力や判断力が低下していることも少なくありません。睡眠不足でコルチゾールが過剰分泌されると、記憶や感情を司る脳の海馬という部位に影響が出て、記憶力の低下につながる可能性も指摘されています。

重要な意思決定や交渉の場面でのパフォーマンスを維持するためにも、睡眠の確保は合理的な将来への投資といえるでしょう。(※7)

ストレスや自律神経の乱れが生じる

慢性的な睡眠不足はホルモン分泌や自律神経機能に大きな影響を及ぼします。ストレスがあると交感神経が優位になり、睡眠が妨げられて、眠れないことが更なるストレスになるといった悪循環にも陥りやすくなってきます。

この悪循環が続くと不眠症へと発展するリスクがあり、慢性不眠症だと成人の約10%に見られると報告されているのが現状です。また、自律神経の乱れは消化機能や免疫機能にも影響し、体調全体の安定性も低下します。

職場でのプレッシャーやストレスがある環境 にいる方ほど、睡眠によるリセットが不可欠です。(※8)

食欲増加や体重増加につながる

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睡眠不足が続くと、食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌が減少し、食欲を高めるホルモン(グレリン )の分泌が増加します。これにより睡眠が不足した状態では食欲が増大しやすく、結果として体重増加や肥満リスクの上昇にもなる状態です。

さらに、夜間は体内時計の働きにより脂肪を蓄積して分解を抑えるタンパク質が活性化し、深夜の食事や間食が太りやすい状態とも重なってきます。

健康診断の数値が気になる方にとっても、睡眠の質の低下が体重や血糖値、血圧にも連鎖的に影響するリスクは見過ごせないポイントです。(※9)

慢性的な疲労が蓄積する

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睡眠不足症候群では、平日の睡眠時間が3〜5時間と短く、週末に9〜10時間の寝だめをするパターンが典型的と厚生労働省が公表しています。しかし、寝だめによって一時的に眠気は解消されても睡眠不足の悪影響は、すべては解消できないのが事実です。

蓄積された睡眠負債は週末の長時間睡眠では解消しきれないことが指摘されており、慢性的な疲労が積み重なるほど回復にかかる時間も長くなってきます。

もし月曜日の朝から疲れが抜けていないなら、週末だけでなく平日の睡眠の質自体を見直すべきサインかもしれません。(※10)

疲れをとるために必要な睡眠時間の目安

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どのくらいの時間寝るのが適切なのかは、一律の正解はないのが事実です。成人では、おおよそ6〜8時間が適正な目安とされ、少なくとも6時間以上を確保することが推奨されています。ただし個人差があります。

しかし、睡眠時間の長さだけにこだわるのは必ずしも正解ではなく、日中の眠気で困らなければ十分というのが専門家の共通した見解です。大切なのは時間の長さと質の両方を意識し、自分の体感に基づいて適切な睡眠を見つけていく姿勢です。(※11)

年齢別にみた適切な睡眠時間

睡眠ガイド2023によると、夜間に実際に眠ることができる時間は加齢とともに短くなることが示されています。25歳では約7時間、で45歳だと約6.5時間、65歳では約6時間というように、成人後は20年ごとに30分前後の割合で減少していきます。

また、長く寝ればよいというわけではなく、自分の年齢や体質に合った適切な睡眠時間を確保するのが重要です。40〜64歳の成人では睡眠不足傾向が顕著であり、意識的に確保する姿勢が求められます。(※12)

個人差と生活習慣による違い

厚生労働省によると、疲労回復に必要な睡眠時間には大きな個人差があるとされています。体質的に必要睡眠時間が長い方の場合、毎日6〜7時間眠っていても慢性的な眠気が続く睡眠不足症候群を発症することもあるそうです。

睡眠時間の長さだけで判断するのではなく、起床時に休めた感があるか、日中に強い眠気が出ないかも日々の指標として確認しましょう。また、シフトワークや深夜残業が続くと、体内時計のズレが生じて睡眠の質が低下しやすいことも報告されています。

睡眠の質を守るためにも、生活リズムの安定が重要な課題といえるでしょう。(※13)

睡眠で疲れをとるための寝具の選び方

睡眠で疲れがとれる理由は?睡眠不足のリスクや睡眠の質をよくする方法も解説

睡眠の質を高めるうえで、寝具の選び方は見落としやすいポイントです。実は寝具には寝るだけではなく、適切な保温・吸湿放湿と身体への負担が少ない姿勢を保つ 役割があります。

この2点が適切に確保されていないと、睡眠中の回復効率が下がることも指摘されています。毎晩使用するものだからこそ、自分の体型や睡眠スタイルに合ったものを選びましょう。

このように、寝具選びは長期的な疲労回復の質に影響してきます。寝具に投資するのは、毎日のパフォーマンスへの合理的な投資ともいえる状態です。快眠のための室内の目安は、温度については20度前後で湿度は40〜70%、寝床内の温度は33度で湿度50%です。

枕については、頸 区部と後頭部のすき間(一般に1〜6cm)に合った高さのものを選ぶことで、首や肩への負担が軽減されます。朝起きたときに首や肩のこりを実感している場合、枕の高さが合っていない可能性があります。マットレスや敷布団については、硬さも重要です。

やわらかすぎると沈み込みすぎて腰痛の原因になり、硬すぎると血行不良により熟睡しにくくなってきます。重要なのは、背骨のS字カーブを自然に支えられる適度な硬さ のものを選ぶことです。

かけ布団は吸湿性だけでなく放湿性、軽さとフィット感を重視しましょう。睡眠中の寝返りがしやすくなり、体の回復を妨げません。(※14)

睡眠の質をよくする方法

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睡眠の質は、寝具や寝室環境だけで変わるものではありません。大事なのは、就寝前の行動習慣 です。厚生労働省の資料でも、睡眠環境や就寝前の行動が睡眠休養感(睡眠で休養が取れている感覚)に影響することが指摘されています。

少しの習慣の見直しで、睡眠の深さや翌朝の目覚めが変わることがあります。特別な器具や費用は不要です。今日からでも実践できる具体的なポイントを確認していきましょう。(※15)

質のよい睡眠の特徴

質のよい睡眠とは、入眠がスムーズで夜間に何度も覚醒せず、朝に自然な目覚め を感じられる状態を指します。日中に強い眠気が残らないことも、睡眠の質を測るひとつの目安です。

例え眠りが浅く感じられても、昼間の生活に支障がなければ問題ないという視点も示されています。睡眠時間の長さや、途中の覚醒回数にこだわりすぎないことも大切です。

まず、自分の睡眠の質を客観的に把握したうえで、翌朝の休養感と日中の眠気の2点を日々チェックする習慣をつけましょう。(※16)

寝る前に避けるべきこと

睡眠の質を下げる就寝前の行動としてはスマートフォンやPCのブルーライト、カフェインやアルコールに加え、就寝直前の食事 が挙げられます。厚生労働省によると、カフェインやニコチンには覚醒作用があり、安眠を妨げてしまいます。

アルコールには寝つきをよくする働きがあるように感じられますが、実際には深い眠りが減り、早朝に目が覚めやすくなるため、かえって睡眠の質を下げてしまいます。就寝直前の食事は、消化のために内臓が活動し続け、深い眠りを妨げます。

スマートフォンやPCのブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制 し、体を昼間と誤認させます。就寝1〜2時間前からはこれらを意識的に避け、入眠をスムーズに行うための習慣化が必要です。(※17)

適切な睡眠環境

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睡眠に適した寝室の温度は、20度前後、湿度は40〜70%とされています。騒音や光も睡眠の質に影響するので、遮光カーテンや耳栓の活用も有効です。

就寝前に部屋の照明を落とせば、メラトニンの分泌が促されるので、体を睡眠モードに切り替えられます。朝は太陽光を浴びることで、体内時計がリセットされ夜の眠気が自然に訪れるリズムを整えることが可能です。

厚生労働省によると、早起きすることが早寝につながる という考え方が示されています。朝の光を浴びる習慣から始めるのは、睡眠の質を整える効果的な第一歩といえるでしょう。(※18)

リラックスして眠れる工夫

就寝前には、副交感神経を優位にさせるのが、良眠のコツとされています。例えば、ぬるめのお湯(38〜40度)でのゆっくりとした入浴をすると、体温を一度上げた後に下げる過程で眠気を誘えます。

また、入浴後は心身がリラックスしやすい 状態になり とされています。好きな音楽・読書・深呼吸など、自分なりのリラクゼーション習慣を、就寝前のルーティンとして組み込むことも有効です。

就寝前にリラックスした状態をつくれば、スムーズな入眠と深い睡眠につながると解説されています。このような日々の整える習慣を日常に取り入れることが、今後の睡眠習慣の質にもつながるといえるでしょう。(※19)

睡眠の質を高めるために摂取したい栄養素

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生活習慣や睡眠環境の見直しと同時に、食事の栄養面からも睡眠の質にアプローチする方法 が注目されています。特定の食品が睡眠薬のような即効性を持つわけではありませんが、睡眠に関わるホルモンなどの原料となる栄養素を、意識的に摂ることが大切です。

食品からのアプローチは取り入れやすい選択肢です。ここからは、睡眠に関わる主な栄養素を整理していくので、確認してみましょう。

トリプトファンは必須アミノ酸のひとつです。体内でセロトニン(心を落ち着かせる神経伝達物質)に変換され、夜になるとメラトニンへと変わります。

日中に太陽光を浴びると、セロトニンの合成が促進されるので、朝の習慣と合わせると効果的です。特に大豆製品や乳製品、バナナなどに多く含まれる成分です。

ビタミンB6はトリプトファンからセロトニンへの合成を助ける働きがあります。こちらは、主にまぐろやかつお、バナナやにんにくなどに多く含まれています。

GABA(ギャバ) はγ-アミノ酪酸の略称で、体内にも存在するアミノ酸です。中枢神経系では、抑制系の神経伝達物質として働いて興奮状態を抑えてくれます。

一部の研究では、一定量のGABAを含む試験食品について、睡眠に関する指標との関連が報告されています。

日中に摂取した場合でも、夜間の睡眠満足度が向上するという結果も報告されています。このように、タイミングにとらわれずに継続しやすい点も特徴のひとつです。

グリシンを一定量用いた一部の試験では、睡眠に関する指標が検討されています。ただし、通常の食品摂取で同様の結果が得られるとは限りません。

こうした栄養素を日常の食事から取り入れることが、睡眠の質を整える食習慣の基本です。しかし、忙しい社会人にとって毎食の栄養管理は、現実的でない場合もあります。(※20)

睡眠で疲れがとれていないと感じるなら

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ここまでで睡眠のメカニズムからリスク、改善方法まで整理してきました。わかってはいるけれど、なかなか習慣を変えられない、というのが忙しい社会人の本音かもしれません。

睡眠の改善は、一夜で劇的に変わるものではありません。日々の小さな積み重ねによって、体内リズムが少しずつ安定していくでしょう。大事なのは、完璧な睡眠習慣を目指すのではなく、無理なく続けられる方法を日常に組み込んでいくことです。

起床時間をそろえる、就寝前のスマホを控えるといった行動は、今日からでも始められます。そして、食生活に睡眠に関わる栄養素を取り入れることも、習慣化しやすいアプローチのひとつです。

睡眠不足を放置すると日中のパフォーマンス低下だけでなく、生活習慣病や認知機能の低下といった長期的なリスクにもつながります。特に忙しい社会人にとって、睡眠の質を整えるのは健康管理である以上に、仕事の質を守るための合理的な投資といえるでしょう。(※21)

参考文献

  1. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」
  2. e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」
  3. J-STAGE「睡眠とアルツハイマー病 ― アミロイド β 蓄積の観点から ―」
  4. e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
  5. e-ヘルスネット「健康日本21アクション支援システム Webサイト」
  6. e-ヘルスネット「不眠症」
  7. e-ヘルスネット「健康日本21アクション支援システム Webサイト」
  8. 厚生労働省「睡眠と免疫に関する資料」
  9. 厚生労働省「【参考資料3】Good Sleepガイド」
  10. 新発見!昼間に摂取したGABAがその日の睡眠の質を改善 – GABA・ストレス研究センター