
ストレスで風邪をひきやすくなる原因は?ひきやすい人の特徴や免疫力低下を防ぐ方法、心因性発熱との違いを解説
風邪をひくと、細菌やウイルスによる感染を疑いますが、実はストレスが続くと感染しやすくなることがあるといわれています。
強いストレスが長期間続くと、睡眠や生活習慣などを介して体調に影響し、感染症にかかりやすくなる可能性が指摘されています。
風邪をひかないためには、ストレスを溜めないことや生活習慣を整えることが大切です。
この記事では、ストレスで風邪をひく原因や風邪をひきやすい人の特徴、免疫力低下を防ぐ方法などについて紹介します。
風邪をひきやすいと感じる方は、ぜひ参考にしてみてください。
ストレスで風邪をひきやすくなる主な原因

ストレスは、精神的な影響のみならず、免疫機能を低下させる影響を及ぼします。
免疫機能は、細菌やウイルスから体を守る機能です。しかし、ストレスがかかることで免疫機能の活動が低下してしまい、感染しやすくなってしまいます。
では、ストレスで風邪をひく原因は何かについて見ていきましょう。
自律神経の乱れにより体調管理が不安定になりやすい
自律神経の乱れは、ストレスで風邪をひく原因の一つです。
自律神経は、体温調節や心拍・血圧など生命を維持するために必要な体の働きをコントロールする役割を担っています。自律神経が乱れることによって、体温調節や血圧などの自律神経のバランスが崩れると、睡眠や食欲などに影響し、体調を崩しやすくなることがあります
また、自律神経には日中の活動を活発にさせる交感神経と体を休息させる副交感神経があり、この2つのバランスが崩れることで自律神経の乱れを引き起こします。
交感神経ばかりが働くことで休息ができず、体温調節や心拍・血圧などの体のコントロールができなくなり、結果的に免疫力が低下して風邪をひいてしまいます。
睡眠不足や疲労の蓄積で休息が不十分になりやすい
自律神経は体の働きをコントロールする役割を担っていますが、睡眠不足や疲労の蓄積により、十分な休息が取れていないと自律神経の乱れにつながります。
休息が十分にとれていないと、交感神経が優位になり、副腎皮質からコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。
コルチゾールはストレスに対抗して体を守る働きをする反面、病原菌を攻撃する細胞の働きを弱め、免疫機能を低下させてしまうホルモンです。
コルチゾールは、慢性的なストレス時には免疫反応に影響する可能性があります。
ストレスで風邪をひきやすい人の特徴

ストレスで風邪をひく原因は、自律神経の乱れや休息不足です。毎日の生活が乱れることで、体調を崩して風邪をひいてしまいます。
では、ストレスで風邪をひきやすい人の特徴について具体的に見ていきましょう。
睡眠時間や起床時間が不規則になっている
不規則な生活が続くと、自律神経を乱し、免疫機能が低下して風邪をひきやすくなります。
起床時間や睡眠時間が不規則だったり昼夜逆転した生活だったりすると、交感神経と副交感神経がうまく切り替えることができず、免疫機能の低下につながります。
毎日、決まった時間に起床・休息の時間を確保することで風邪をひきにくい体を作れるでしょう。
緊張状態が続き休息や食事が後回しになっている
交感神経が優位な状態が続くのも、風邪をひきやすい人の特徴です。
交感神経の役割は日中の活動を活発にすることで、副交感神経の役割は休息することで日中に受けたダメージを修復することです。
副交感神経が働くことで、脳の疲労を軽減させたり消化器系を修復したりと、日中のストレスで受けたダメージを修復します。
休息や食事が後回しになると交感神経ばかりが優位になってしまい、日中に受けたダメージの修復ができずに風邪をひきやすくなる可能性が高まります。
ストレスが風邪の回復に与える影響

起床や就寝時間が乱れた生活を送っていたりしっかりとした休息が取れていない方が、ストレスで風邪をひきやすい傾向にあります。
細菌やウイルスによる風邪の場合、免疫反応などによって症状が徐々に改善しますが、ストレスによる風邪はどのように回復するのでしょうか。
ここでは、ストレスが風邪の回復に与える影響について見ていきましょう。
睡眠の質が低下し疲労感が残りやすい
ストレスによる風邪は、自律神経の乱れにより、免疫機能が低下することで発症しやすくなります。
風邪が回復する頃に、継続的にストレスがかかってしまうと、睡眠の質が低下し寝ても疲労感が取れない状況に陥ってしまう可能性があります。
風邪を長引かせないためにも、心身をしっかりと休ませ、生活リズムを保つことが大切です。
食欲低下により栄養や水分を取りにくくなる

体調不良やストレスにより食欲が低下することがあります 。
胃が正常に機能しなくなると食欲低下を起こし、回復に必要な栄養や水分を摂れず、風邪が長引くリスクが考えられるでしょう。
食欲が低下しているときは、消化のよいうどんやおかず、ゼリーなどで少しずつ栄養を摂取することが大切です。
風邪を防ぐために整えたい基本の生活習慣

感染リスクを抑えるためには、基本的な生活習慣を見直すことが大切です。
自宅に帰ってきたら、体に付着した細菌やウイルスを洗い流したり部屋の換気を行うことで、風邪をひきにくくなります。
基本的な生活習慣を身につけ、感染リスクを抑えましょう。
手洗い・うがい・換気で感染対策を行う
感染リスクを抑えるためには、手洗い・うがい・換気を行いましょう。
外出先では、手すりやエレベーターのボタンなど手で触ることが多く、細菌やウイルスが手に付着しやすい機会が多くあります。
帰宅後は石鹸で指の間や爪の間、手首までしっかりと洗って細菌やウイルスを洗い流しましょう。
風邪の予防には手洗いやうがいが推奨されています
帰宅後は、喉や鼻の乾燥対策をすることが風邪予防につながります。
また、定期的に換気を行い、新鮮な空気を取り入れることも大切です。換気方法は、対角線の窓を開けたりサーキュレーターを使ったりして、空気の循環を行います。
室内の湿度を保ち喉や鼻の乾燥を防ぐ
室内の湿度が下がり乾燥すると、喉や鼻の粘膜も乾燥してしまい、バリア機能が低下し細菌やウイルスが侵入しやすくなります。
湿度は40%以上を維持することで、乾燥を防ぐことができます。
加湿器を使用し40%以上の湿度を保つことが大切ですが、加湿器がない場合は部屋干しをすることも効果的です。
また、夏場の冷房も乾燥の原因となるため、加湿器の使用やこまめな水分補給をすることで保湿することで感染リスクを抑えることができます。
風邪予防と体調管理を支える食事・栄養の考え方

風邪を予防するためには、手洗い・うがいの基本的な感染対策が大切です。
また、換気して空気を入れ替えたり湿度を保ち、粘膜を乾燥させないことも感染を予防になります。
基本的な生活習慣に加えて、風邪予防によい栄養素を取り入れた食事を取ることも大切です。
ここでは、風邪予防と体調管理を支える食事と栄養素について紹介します。
たんぱく質・ビタミン・ミネラルを不足させない
風邪予防には、タンパク質・ビタミン・ミネラルを不足させないようにしましょう。
肉や魚・卵などに含まれるタンパク質は、免疫細胞や抗体を作る材料です。タンパク質が不足すると、免疫機能が低下し風邪をひきやすくなるため、毎食に取り入れることが大切です。
ビタミンは、鼻や喉の粘膜を守り免疫細胞の機能低下を防ぎます。
細菌やウイルスに対抗する働きがあるビタミンは、果物や緑黄色野菜に多く含まれるビタミンCです。
ニンジンやカボチャ・レバーに多く含まれるビタミンAは、粘膜を健康に保ち細菌やウイルスの侵入を防ぎます。
ほかにも、ビタミンDは免疫システムの働きを調整し、ビタミンEは免疫細胞の機能低下を防ぐ役割があります。
ビタミンを摂取することで、細菌やウイルスの侵入を防いだり対抗する働きを高めるため、免疫機能を支える栄養素です。
ミネラルには、免疫機能の活動をサポートする働きがあるといわれています。
タンパク質を主菜とし、ビタミンやミネラルを含む食材を加えることで、風邪予防につながる食事が取れるでしょう。
発酵食品や食物繊維を日々の食事に取り入れる

発酵食品や食物繊維は、食生活の中で腸内環境を整えることに役立つ場合があります。効果には食品の種類や摂取量、個人差があります。
発酵食品には、ヨーグルトや納豆・味噌などがあり、食物繊維は海藻類やなめこ・ごぼうなどに多く含まれています。
また、発酵食品には腸内環境を整える善玉菌が含まれており、食物繊維は善玉菌のエサとなります。
一緒に摂ることで、善玉菌を増殖させることができます。
ストレスによる免疫力低下を防ぐための睡眠習慣

風邪予防は、基本的な生活習慣を身につけることに加えて、栄養バランスの整った食事を取ることが大切です。
健康的な生活習慣は、健康状態の維持に役立ちます。
生活習慣と食事に加えて確認しておきたいのが睡眠です。
睡眠は、ストレスを軽減させたり体調管理を支えます。質の高い睡眠を取り、免疫力低下を防ぐ睡眠習慣について見ていきましょう。
毎日同じ時間に寝起きする
免疫力低下を防ぐためには、毎日同じ時間に寝起きすることが大切です。
毎日同じ時間に起床し睡眠することで睡眠時間を一定に確保できるほか、体内時計が整い、自律神経の乱れを防ぐことにもつながります。
休日も同じ生活を送ることで、心身の不調改善にも効果的です。
就寝前はスマートフォンの利用を控える
就寝前のスマートフォンの利用は、脳を興奮状態にさせてしまい、睡眠の質を低下させてしまいます。
スマートフォンの光には、ブルーライトが含まれており、就寝前に浴びることで体内時計を調整するメラトニンの分泌が抑えられてしまいます。
夜間にブルーライトを浴びることで脳が興奮状態になり、体内時計が狂ってしまうでしょう。
就寝の1〜2時間前にはスマートフォンを手放し、読書やストレッチを行い、自然な眠気で入眠できるように就寝前ルーティンを整えましょう。
寝室環境を整える

睡眠の質を高めるためには、寝室の光や湿度・温度などの環境を整えることが大切です。
快適な睡眠を取るためには、一般的な目安として寝床内の温度は33度、湿度は50%がよいとされています。
季節や個人差によって違いがあるため、ご自身が快適な温度に設定することで、質の高い睡眠を得られるでしょう。
また、就寝中の光は暗いほど質の高い睡眠を得られます。
就寝前、1〜2時間は少し明るさを落としたオレンジ色の明かりを取り入れましょう。
オレンジ色の照明には、メラトニンの分泌を妨げにくいといわれているため、就寝前はオレンジ色の照明を取り入れましょう。
夕方以降のカフェインを控える
カフェインには、眠気を誘発するアデノシン受容体を防ぐ効果があり、覚醒作用をもたらします。
集中力を高めたい日中には効果的ですが、夕方以降は睡眠の質を大きく低下させてしまう可能性が高いです。
カフェインの効果には、個人差がありますが、摂取してから30分〜2時間ほどで高い効果を発揮します。効果が半減するまでの時間は、摂取から2時間〜8時間ほどかかるそうです。
夕方以降にカフェインを摂取すると、就寝時までにカフェインの効果が消えないため、睡眠の質を大きく低下させてしまいます。
また、カフェインには利尿作用があるため尿意で目覚めてしまい、睡眠の質を低下させてしまう可能性もあります。夕方以降はカフェインレスのものを選ぶことで、質の高い睡眠が得られるでしょう。
ぬるめのお風呂に入る
一般的な目安として40度の湯船に10〜15分ほど入浴することで、副交感神経を優位にし、リラックスモードに入ります。
ぬるめのお湯に浸かることで、深部体温を高めることができ、寝付きをよくする効果があります。
入浴の時間は就寝1〜2時間前に済ませ、体のほてりがなくなった頃に寝床に入ると、スムーズな入眠ができるでしょう。
体調や季節に応じて調整し、高齢者や持病のある方は無理をしないようにしましょう。
ストレスによる免疫力低下を防ぐための運動習慣

運動習慣は、副交感神経を優位にしストレス解消に効果的です。
ウォーキングやヨガなどの有酸素運動、軽い筋トレやストレッチ・ラジオ体操などを習慣化することで、血流を保つことにつながり、ストレス軽減や健康維持に役立つとされています
ただ、激しすぎる運動は体に大きなストレスを与えて免疫力が低下してしまう可能性があるため、ご自身が心地よいと感じる程度の運動にしておきましょう。
風邪とストレスによる心因性発熱との違い

一般的な風邪と心因性発熱との大きな違いは、熱の発生メカニズムです。
一般的な風邪は、細菌やウイルスが体内に入ることで発症しますが、心因性発熱はストレスは感染症など他の原因を除外した上で医師が判断します。
また、一般的な風邪は解熱剤が効きますが、心因性発熱には解熱薬が効きにくい場合があるとされています。
一般的な風邪の場合、細菌やウイルスが侵入すると、戦うために発熱サイトカインという指令を出します。
サイトカインが出されるとプロスタグランジンE2という物質が生成され、体温が上昇し免疫細胞が活性化し、細菌やウイルスの増殖を抑える効果があります。
プロスタグランジンE2が分泌されると、熱だけでなく頭痛や筋肉痛といった痛みを引き起こす要因の一つです。痛みや発熱を抑えるために解熱剤が使われます。
一方で、心因性発熱の発熱原因は細菌やウイルスではないため、発熱が続く場合は自己判断せず医療機関に相談してください 。
ただ、細菌やウイルスに感染していないため、周囲にうつることもない点も一般的な風邪との違いです。
風邪やストレスを予防して健康や睡眠の質を高めたいなら

ストレスは、精神的に影響を及ぼすだけでなく、免疫機能の低下にも影響します。
ストレスを溜め込むと、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできず、自律神経のバランスを乱して風邪をひいてしまいます。
風邪をひきにくくするには、食事バランスを整えたり基本的な生活習慣を身につけたりすることが大切です。
また、睡眠習慣を整えることも免疫機能の低下を防ぎます。
免疫機能は日々の積み重ねによって維持できます。食事・睡眠・生活習慣を整えて、風邪をひきにくい体を作りましょう。
参考文献
- 028 自律神経とはどんな働きをするのですか?心や体にどんな関係があるのですか? | 生涯学習関連情報
- 厚生労働省「こころもメンテしよう」
- e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
- 厚生労働省「ストレスで風邪をひきやすくなる原因はの参考資料」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 食品安全委員会「ストレスで風邪をひきやすくなる原因はの参考資料」
- J-STAGE「心因性発熱に関する最近の研究の発展」
- ストレスで風邪をひきやすくなる原因はの参考資料
- ストレスで風邪をひきやすくなる原因はの参考資料
- e-ヘルスネット「健康日本21アクション支援システム Webサイト」
- 国立病院機構 仙台医療センター
- 国立精神・神経医療研究センター病院「カフェインと睡眠」
