
テアニンとカフェインを併用するとどうなる?作用の違いと集中力、睡眠への影響を解説
250 テアニンとカフェインを併用するとどうなる?作用の違いと集中力、睡眠への影響を解説
テアニンとカフェインは、それぞれ異なる作用を持つ成分で、併用によって感じ方や作用に違いが生じる可能性があります。
カフェインは覚醒に関わり、テアニンは緑茶などに含まれるアミノ酸で、リラックスに関わるとする研究報告があるためです。
仕事の合間にコーヒーや緑茶を飲む機会がある方にとって、両者の特徴を知っておくことは役立ちます。
本記事では作用の違いから集中力や睡眠への影響、摂取量の目安などを、国内の資料をもとに整理します。
日中のパフォーマンスと睡眠の両方を考える際の判断材料としてお役立てください。
テアニンとカフェインを併用するとどうなる?

カフェインとテアニンを併用した場合、テアニンがカフェインによる興奮を抑える方向に働く可能性があります。
テアニンについて、カフェインの興奮作用を抑制したとする研究報告があるためです。(※1)
カフェインは覚醒を促す成分で、テアニンは緑茶に含まれるアミノ酸です。
テアニンには、カフェインによる興奮を抑える方向に働く可能性が示されています。(※1)
テアニン自体にも、ヒトが摂取した際に、リラックス時に現れる脳波(α波)が出現したとする報告があります。(※2)
ただし、その現れ方には心理状態による違いも報告されている点に注意が必要です。(※2)
そのため、併用した際の感じ方も人によって異なる可能性があります。この後の章では、それぞれの作用の違いと、集中力・睡眠への影響を順に確認しましょう。
テアニンとカフェインの作用の違い

テアニンは緑茶などに含まれるアミノ酸で、カフェインは茶やコーヒーなどに含まれる成分ですが、体への働きかけ方は異なります。
テアニンはリラックスに関わる作用が報告されている一方、カフェインは覚醒を促す作用があります。
そのため、併用時の変化を理解するには、それぞれの特徴を個別に把握しておくことが大切です。
この章では、テアニンのリラックス作用とカフェインの覚醒作用を順に整理し、両者の違いを確認します。
テアニンのリラックス作用
テアニンには、リラックスに関わる作用があるとする研究報告があります。
8名の女子学生がテアニン200mgを含む水100mlを摂取した試験では、リラックス時に現れるα波が出現しました。
α波は摂取後約40分で観測され、少なくとも2時間は続くと考えられています。
ただし、α波の現れ方は不安の程度によって異なるとする研究報告があります。(※2)そのため、テアニンの作用は心理状態によって変わる可能性があります。
カフェインの覚醒作用
カフェインには、中枢神経を刺激して覚醒を促す作用があります。
カフェインは、眠気に関わるアデノシンと化学構造が似ており、アデノシンが結合する受容体に結合するのが作用の仕組みです。(※3)
その結果、神経を鎮静させる作用が阻害され、覚醒状態が保たれやすくなると考えられています。
そのため、仕事の合間にコーヒーなどを飲むと、頭がすっきりしたり眠気が覚めたりする可能性があるでしょう。
ただし過剰に摂取すると、心拍数の増加や不安、不眠が起こる場合があります。
テアニンとカフェインの集中力への影響

カフェインは覚醒を促し、テアニンはリラックスに関わる作用が報告されているため、両者を併用すると集中力の保ち方に違いが出る可能性があります。
この章では注意力や集中力への影響、反応時間と作業効率への影響を整理し、あわせて研究結果に個人差がある点も確認します。
注意力・集中力への影響
限られた条件の試験で、課題成績の違いが報告されています。
ナショナルチーム所属のカーリング選手22人が、カフェインとテアニンを体重1kgあたり各6mg同時に摂取し、60分後にショットの精度を評価した試験では、3種類のショットすべてで、プラセボ条件より精度が高い結果でした。(※4)
カーリングは長時間の集中維持が求められる競技であるため、集中力への影響を考える手がかりになります。
反応時間・作業効率への影響
併用により、認知機能テストで反応時間の短縮とエラー率の低下が報告されています。
前述の試験では、ストループテストと呼ばれる認知機能テストで、反応時間とエラー率を評価しました。
併用した条件では、プラセボ条件に比べて反応時間が短く、エラー率も低い結果が得られたとされています。(※4)
ただし、この結果がそのまま日常業務に当てはまるとは限りません。
研究結果には個人差がある
併用の研究結果は、対象者や条件によって異なるため、個人差を前提にとらえる必要があります。
紹介した試験の対象は、カーリング選手22人の限られた集団でした。摂取量も体重1kgあたり各6mgと、一定の条件で行われました。
また、テアニンについては、研究結果の一貫性がまだ十分でないとされています。(※1)
テアニン単独の研究でも、不安の程度によって脳波の現れ方が異なると報告されています。そのため、同じ量を摂っても、人によって感じ方に差が出る点には注意しましょう。
テアニンとカフェインのストレスへの影響

テアニンとカフェインは、ストレスへの関わり方が異なる成分です。
テアニンにはストレス負荷時の変化を調べた研究があり、カフェインは過剰に摂ると不安や心拍数の増加につながる場合があるためです。
テアニンについては、心拍数や唾液中の成分を指標に、ストレス負荷時の変化を調べた研究があります。(※1)
カフェインは中枢神経を刺激するため、過剰に摂取した場合にはめまいや心拍数の増加、興奮や不眠などが起こることがあります。(※3)
そのため、ストレスを感じやすい場面ほど、体調に合わせてカフェインの量を調整する視点が欠かせません。
反応には個人差があるため、自分の状態を目安に取り入れることが大切です。
テアニンの睡眠への影響

テアニンは緑茶に含まれるアミノ酸で、リラックスに関わる成分として知られているため、睡眠の状態にも関わる可能性があるとして研究が進められています。
夜の休息を日中のパフォーマンスにつなげたいビジネスパーソンにとって、その内容は把握しておきたい情報です。
この章では、寝つきや中途覚醒、起床時の疲労感への影響を解説していきます。
寝つきへの影響
テアニンを摂取したときのほうが、入眠が円滑だったと評価した人が多くみられた研究があります。
男子学生10人を対象とした試験では、10人中7人がプラセボを摂取したときよりもテアニンを摂取したときのほうが、入眠が円滑だったと答えました。(※5)
ただし、対象は少人数で、確立された結論とはいえません。
寝つきが気になる場合は、テアニンだけに頼らず、生活リズムや就寝前の過ごし方もあわせて見直すことが大切です。
中途覚醒への影響

テアニンの摂取により、入眠後に目が覚めている時間が短くなったとする報告があります。
前の見出しで紹介した試験ではテアニンを就寝前に摂取した場合に、入眠後に目が覚めている時間が、プラセボを摂取したときより短くなりました。(※5)
ただし、これは少人数を対象にした短期間の試験の結果です。
夜中に目が覚める頻度が気になる場合は、寝室の環境や就寝前の過ごし方も含めて見直すことが大切です。
睡眠中の自律神経活動に関する研究
就寝前のテアニン摂取と、睡眠中の自律神経活動との関係を調べた研究報告もあります。
閉経後の中高年女性20人が就寝前にテアニン200mgを6日間続けて摂取した試験では、睡眠中の交感神経と副交感神経の活動を評価し、プラセボを摂取したときと比較しています。(※6)
ただし、対象は閉経後の女性20人に限られた短期間の試験です。起床時の疲労感や日中の体調に同じ変化が起こるかどうかは、この試験からは判断できません。
カフェインの睡眠への影響

カフェインは中枢神経を刺激して覚醒を促す成分であるため、摂取する時間帯や量によっては夜の睡眠に影響する可能性があります。
睡眠が乱れると翌日の作業効率にも関わるため、日中に摂る飲み物の選び方は見直す価値があるでしょう。
この章では寝つきの悪化と深い睡眠の減少、中途覚醒の増加の3つの観点から、カフェインが睡眠に及ぼす影響を整理します。
寝つきの悪化
カフェインには覚醒作用があるため、摂る時間帯によっては夜の寝つきが悪くなる可能性があります。
厚生労働省の資料では、夕方以降のカフェイン摂取は少量でも睡眠に影響するため、控えるよう示されています。(※7)
体内でカフェインの量が半分になるまでの時間は3〜7時間と個人差が大きく(※8)、同じ時間に飲んでも影響の出方は人によって異なるのが実情です。
午後にコーヒーを飲む機会がある方は、飲む時間帯を見直すことが大切です。
深い睡眠の減少

カフェインは、睡眠時間や睡眠の質に影響を及ぼす可能性があります。
厚生労働省の資料では、カフェインの覚醒作用により、眠りが浅くなる場合があると示されています。(※7)
一方、睡眠の深さの段階(睡眠ステージ)への影響は、研究結果が一定していません。
厚生労働科学研究の報告書でも、総睡眠時間と睡眠効率の低下は確認されたものの、睡眠ステージは一定の見解が得られていないとされています。(※9)
そのため、深い睡眠への影響は断定できません。睡眠の質を保つには、摂取量と時間帯の両方を意識することが大切です。
中途覚醒の増加
カフェインは、夜中に目が覚める中途覚醒を増やす可能性がある成分です。
厚生労働省の資料では、カフェインには覚醒作用に加えて利尿作用もあり、眠りを浅くしたり途中でトイレに起きたりする原因になると示されています。(※7)
自治体の資料でもカフェインの覚醒作用により、寝つきの悪さや中途覚醒の増加、眠りの質の低下が起こる可能性があるとされています。(※10)
夜間に何度も目が覚めると、翌日に疲れを持ち越しやすいでしょう。夕方以降の飲み物は、選び方を意識することが大切です。
テアニンとカフェインの摂取量の目安

テアニンとカフェインは、摂る量によって体への影響が変わるため、目安となる量を把握しておくことが欠かせません。
特にカフェインは、過剰に摂取すると不安や心拍数の増加などにつながる場合がある点には注意が必要です。
日中のパフォーマンスと夜の睡眠の両方に関わるため、数値で把握しておくと判断しやすくなります。
この章では、テアニンとカフェインそれぞれの摂取量について、研究や国内の公的機関の資料をもとに整理します。
テアニンの摂取量
脳波を調べた研究と、就寝前の摂取による睡眠の研究では、いずれも1回200mgが用いられました。(※2)(※6)
ただし、これは研究で使われた量であり、すべての方に当てはまる摂取の基準ではありません。
テアニンは緑茶などに含まれるアミノ酸です。食品から摂る成分の一つとして知られています。
体調に不安がある場合は、医師や薬剤師に相談してください。
カフェインの摂取量

健康な成人のカフェイン摂取量は、1日400mgまでが一つの目安です。
農林水産省の資料によると、米国食品医薬品局(FDA)は、健康な成人が1日400mgまで摂取しても健康への危険な悪影響はないとしています。(※3)
食品安全委員会のファクトシートでは、健康な成人の場合、1回200mg(体重70kgの場合:約3mg/kg)であれば急性毒性の懸念は生じないとされています。(※11)
カフェインは紅茶や清涼飲料水、チョコレートにも含まれる成分です。そのため、1日の合計で把握しましょう。
テアニンとカフェインを摂るタイミングと注意点

テアニンとカフェインは成分そのものだけでなく、摂る時間帯によって睡眠への影響が変わるため、目的に合わせた取り入れ方が欠かせません。
日中の集中を保ちたい場合と、夜の睡眠を妨げたくない場合とでは、意識すべき点が異なります。
この章では、それぞれの目的に応じたタイミングと、あわせて押さえておきたい注意点を整理します。
日中の集中を目的にする場合
日中の集中を目的にする場合は、睡眠への影響を考慮し、カフェインを摂る時間帯と1日の総摂取量を意識しましょう。
厚生労働省の資料では、夕方以降のカフェイン摂取は少量でも睡眠に影響するとされています。(※7)
集中を目的にカフェインを摂る場合も、睡眠への影響を考慮して時間帯を選びましょう。
前述の試験では、摂取60分後に集中力に関わる課題を評価しています。(※4)
ただし、この試験ではカフェインとテアニンをそれぞれ体重1kgあたり6mg摂取しており、日常的な摂取量とは異なる点に注意が必要です。
カフェインは1日の総摂取量を把握し、摂りすぎないようにしましょう。
睡眠への影響を避けたい場合
睡眠への影響を避けたい場合は、夕方以降はカフェインを含まない飲み物へ切り替える方法があります。
厚生労働省の資料では、夕方以降のカフェイン摂取は少量でも睡眠に影響するとされています。(※7)
コーヒーや緑茶だけでなく、エナジードリンクや栄養ドリンクにもカフェインが含まれるため、飲み物を選ぶ際は成分表示を確認しましょう。
夕方以降の1杯を、麦茶などカフェインを含まない飲み物に置き換える方法もあります。
テアニンとカフェインの特徴を理解して取り入れよう

テアニンはリラックスに関わる成分、カフェインは覚醒を促す成分であり、両者は作用の方向が異なります。
併用によって集中力に関する変化が報告されている一方で、研究は限られた人数と条件によるもので、反応には個人差がある点に留意が必要です。
睡眠の面では、カフェインは寝つきや眠りの質に影響する可能性があるため、夕方以降の摂取は控えることが推奨されています。
テアニンについても、睡眠への影響を示す報告はあるものの、確立された結論とはいえません。
日中のパフォーマンスと睡眠の両方を考えるためには、摂る量と時間帯を見直すことが大切です。
まずは、1日の終わりにカフェインを摂る時刻を確認することから始めてみてください。
参考文献
- J-STAGE「テアニン」
- J-STAGE「L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響」
- 農林水産省「カフェインの過剰摂取について:農林水産省」
- テアニンとカフェインを併用するとどうなるの参考資料
- J-STAGE「アクチグラフを用いたL-テアニンの睡眠改善効果の検討」
- J-STAGE「閉経後の中高年女性に対するL-theanineが睡眠時の自律神経活動に及ぼす影響」
- スマート・ライフ・プロジェクト「寝ても疲れが取れないなら要チェック!あなたの睡眠の質 大丈夫ですか?」
- 厚生労働省「睡眠対策」
- 厚生労働科学研究成果データベース「time: TST) Time in Bed(TIB) Sleep」
- 睡眠と健康
- 食品安全委員会「テアニンとカフェインを併用するとどうなるの参考資料」
- カーリングのショット精度は、カフェインとL-テアニンの併用で向上する
