
レム睡眠とは?ノンレム睡眠との違いと役割・睡眠の質を上げるコツを解説
レム睡眠という言葉は知っていても、正確な意味まで解説できる方は少ないのではないでしょうか。仕事や家庭で忙しい毎日を送るなかで、限られた時間のなかで効率よく体を休めたいと考える方も多いでしょう。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という二つの状態があり、それぞれが異なる役割を担っています。仕組みを正しく理解することで、休み方を見直すきっかけになるはずです。
本記事では、レム睡眠の意味とノンレム睡眠との違い・役割・サイクルを解説します。あわせて、睡眠の質を上げる具体的なコツもご紹介しますので、今夜からの過ごし方の参考にしてみてください。
レム睡眠とは?基本の意味

レム睡眠とは、眠っているあいだに訪れる睡眠段階のひとつです。急速眼球運動と呼ばれる目の動きを伴う点が大きな特徴とされています。
体は休んでいるにも関わらず脳は活発に働いており、この状態のときに夢を見やすいと考えられています。名前の由来も、この目の動きに基づくものです。
睡眠と聞くと、ただ体を休める時間だととらえがちですが、レム睡眠のあいだ脳はむしろ活動を続けています。まずは、レム睡眠がどのような眠りを指すのか、基本の意味から確認していきましょう。
レム睡眠は急速眼球運動を伴う浅い眠りを指す
レム睡眠は、まぶたの下で眼球が素早く動く急速眼球運動を伴う、やや浅い眠りの段階です。骨格筋の活動が低下する一方で、脳の活動は保たれた状態が続きます。
心拍や呼吸のリズムが乱れやすくなることも、レム睡眠に見られる特徴のひとつです。体を支える筋肉の緊張がゆるむため、眠っているあいだも体を大きく動かしにくい状態になります。
脳が活発に働くため夢を見やすい

レム睡眠中は脳が活発に働いているため、夢を見やすい睡眠段階だといえるでしょう。健康な方をレム睡眠のときに起こすと、多くの場合で夢を見ていたと話すことがわかっています。
ノンレム睡眠のときにもわずかに夢を見ることはありますが、鮮明な夢を見やすいのはレム睡眠の特徴です。眠りの浅さと脳の働きが重なることで、夢という現象が生まれると考えられています。
急速眼球運動の英語の頭文字から名づけられた
レム睡眠という名称は、急速眼球運動を意味する英語の頭文字を取って名づけられました。眼球が素早く動く様子が、この睡眠段階を特徴づける目印になっています。
一方でノンレム睡眠は、レム睡眠のような急速眼球運動を伴わない睡眠を指す言葉として使われています。名称の由来を知ることで、二つの睡眠の違いをイメージしやすくなるでしょう。
レム睡眠とノンレム睡眠の違い

レム睡眠とノンレム睡眠は、体と脳のどちらが休んでいるかという点で大きく異なります。レム睡眠は体を休める眠りであり、脳は活発に働き続けています。
一方でノンレム睡眠は、脳も体もあわせて休ませる眠りです。この違いを理解することで、それぞれの睡眠が持つ役割を区別しやすくなります。
「よく眠ったはずなのに疲れが残る」と感じる背景には、この二つの睡眠のバランスが関係している場合もあります。ここでは、二つの睡眠の違いを具体的に見ていきましょう。
レム睡眠は体が休まりノンレム睡眠は脳も休まる
レム睡眠では骨格筋の活動が低下するため、体は休息に近い状態になります。しかし脳の活動自体は保たれており、完全に休んでいるわけではありません。
対してノンレム睡眠では、脳の活動も低下し、心身ともに休息状態に入ります。ノンレム睡眠のあいだは副交感神経が優位に働くとされ、体の緊張がゆるみやすくなります。
レム睡眠は浅くノンレム睡眠は深く眠る
ノンレム睡眠は、眠りの深さによって複数の段階に分かれており、深い段階ほど脳波の振幅が大きくなるのが特徴です。特に深い段階は徐波睡眠と呼ばれ、眠りのなかでもっとも深い状態です。
レム睡眠は、この徐波睡眠と比べると浅い眠りに位置づけられます。深さの異なる二つの眠りが交互に訪れることで、体と脳がバランスよく休まる仕組みになっていると考えられています。
レム睡眠とノンレム睡眠が繰り返すサイクル

眠っているあいだ、レム睡眠とノンレム睡眠は一定の周期で入れ替わっているのです。約90分から120分の周期で二つの睡眠が繰り返されるのが特徴です。
このサイクルは一晩のうちに何度も訪れ、時間帯によってそれぞれの睡眠が占める割合が変化します。サイクルの流れを知ることは、目覚めのタイミングを考えるうえでも参考になるでしょう。
眠りにつく時間だけでなく、起きるタイミングまで意識することで、朝の目覚め方が変わってくる可能性もあります。
約90分周期で二つの睡眠を繰り返す
夜間の睡眠では、通常ノンレム睡眠から始まり、90分から120分の周期でレム睡眠へと切り替わります。入眠して早い段階でもっとも深いノンレム睡眠に到達し、その後は二つの睡眠状態が交互に現れるのです。
一晩のなかでこの周期が繰り返されることで、脳と体がそれぞれ休息を取る時間が確保されると考えられています。
睡眠サイクルは一晩に4〜6回ほど繰り返されることが一般的です。睡眠時間が短すぎると、このサイクルを十分に繰り返せず、深いノンレム睡眠やレム睡眠の時間が不足しやすくなります。
その結果、朝起きても疲労感が残ったり、日中に眠気を感じたりする原因になる場合があります。
明け方に向けてレム睡眠が長くなる
睡眠サイクルの前半では深いノンレム睡眠の割合が多くを占めますが、朝方に近づくにつれてレム睡眠や浅い睡眠の割合が増えていきます。レム睡眠は脳が働いた状態であるため、覚醒への準備段階だといえるでしょう。
朝になると自然に目が覚めやすくなるのは、こうした睡眠サイクルの変化が関係していると考えられます。
レム睡眠が担う役割

レム睡眠は浅い眠りではあるものの、心身にとって欠かせない役割を担っているといえるでしょう。記憶の整理に関わるという報告があるほか、気持ちの面にも影響すると考えられています。
浅い眠りだからといって重要性が低いわけではなく、体を休めるノンレム睡眠とはまた異なる形で心身を支えている段階です。日中に受けた刺激や情報を処理する時間としてもとらえられています。
日中の記憶を整理して定着させる
睡眠中は、日中に学習した情報が再び活性化し、記憶の整理が進むと考えられています。特にレム睡眠は、記憶の形成に関わる脳の働きと関連しているという報告があるのです。
睡眠が不足すると、学んだことを記憶として定着させる働きが十分に行われにくくなる可能性も指摘されています。しっかりとレム睡眠の時間を確保することが、記憶を支える土台になるといえるでしょう。
感情を整えて心のバランスを保つ
レム睡眠のあいだ、脳は日中に経験した出来事を処理していると考えられています。夢を見ることの多い睡眠段階であることも、こうした心の働きと関係している可能性があります。
睡眠の質が低下すると気持ちが不安定になりやすいとされており、心のバランスを保つうえでも十分な睡眠を確保することが大切です。
レム睡眠は、体を休ませるだけではなく、脳が情報を整理する大切な時間でもあります。日中に得た知識や経験を整理し、必要な情報を残しながら不要な情報を整理すると考えられています。
また、感情の整理にも関わるとされており、心身の健康を維持するためにも欠かせない睡眠段階です。
ノンレム睡眠が担う役割

ノンレム睡眠は、脳と体をしっかり休ませる眠りです。体の修復や再生に関わる時間帯であり、日中に受けたダメージを回復させる役割を担っています。
深い眠りであるほど、体を回復させる働きが強くなるとされています。ここでは、ノンレム睡眠が持つ具体的な役割を確認していきましょう。
脳と体を修復して疲れを回復させる
ノンレム睡眠中は脳の活動が低下し、脳自体を休ませる時間になります。あわせて副交感神経が優位になることで、体の緊張がゆるみ、疲労の回復が進みやすくなるのです。
深いノンレム睡眠を十分に確保できるかどうかが、翌日の心身のコンディションに影響する可能性があります。
成長ホルモンが分泌され体の再生が進む

入眠直後に訪れる深いノンレム睡眠のタイミングに一致して、成長ホルモンの分泌が見られることがわかっています。成長ホルモンは、体の組織の修復や再生に関わるホルモンのひとつです。
このことから、ノンレム睡眠は何らかのエネルギー保存の仕組みと関連した睡眠であると考えられています。深い眠りを確保することが、体の回復を助ける土台になるといえるでしょう。
レム睡眠が乱れると起こること

睡眠サイクルが乱れると、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れやすくなります。その結果、眠りの質そのものが低下し、日中の心身にさまざまな影響が出ることがあります。
「なんとなく調子が悪い」と感じる背景に、睡眠サイクルの乱れが隠れている場合も少なくありません。原因がはっきりしないまま不調を抱えている方は、まず睡眠のリズムを見直してみることをおすすめします。
眠りが浅くなり朝まで疲れが残る
睡眠サイクルが乱れると、深いノンレム睡眠が十分に取れないまま朝を迎えることも少なくありません。眠っている時間は足りていても、眠りが浅い状態が続くと、疲れが十分に回復しにくくなります。
このような状態が長く続くと、疲れが取れにくいだけでなく仕事や勉強への意欲が低下したり、小さなミスが増えたりすることもあります。
気分が落ち込みやすくなったり、ストレスを感じやすくなったりする場合もあるため、早めに睡眠習慣を見直すことが重要です。
朝起きたときにすっきりしない感覚が続く場合は、睡眠の長さだけでなく、眠りの質にも目を向けることが大切です。
日中に眠気が出て集中力が落ちる
睡眠不足や睡眠サイクルの乱れは、日中の眠気や頭痛といった心身の不調につながる場合があります。あわせて、注意力や判断力の低下に関連した作業効率の低下も報告されています。
こうした状態が続くと、仕事や家事のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があるため、早めに生活リズムを見直すことが望ましいでしょう。
レム睡眠を整えて睡眠の質を上げるコツ

睡眠の質を高めるためには、特別な方法よりも毎日続けられる習慣を整えることが重要です。就寝前後の過ごし方を少し見直すだけでも、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスは変わりやすくなります。
無理のない範囲で、できることから取り入れてみましょう。特別な道具や環境を用意しなくても、今日から始められる工夫は数多くあります。
睡眠サイクルに合わせて目覚めをすっきりさせる
睡眠サイクルはおよそ90分から120分の周期で訪れるため、このリズムを意識して起床時間を調整することで、目覚めをすっきりさせやすくなるでしょう。深いノンレム睡眠の途中で無理に起きようとすると、体が重く感じられることがあります。
睡眠時間を確保しつつ、サイクルの節目に近いタイミングで起きることを意識してみるとよいでしょう。
就寝と起床のリズムを一定に整える

毎日ほぼ同じ時刻に眠り、同じ時刻に起きる習慣は、体内時計を整えるうえで重要とされています。就寝時刻や起床時刻がばらばらになると、体内時計が乱れ、夜になっても寝つきにくくなる場合があります。
平日と休日で起きる時間を大きく変えないことも、リズムを保つポイントのひとつです。
寝る前のスマホや飲酒を見直す
就寝前にスマートフォンの画面を見続けると、光の刺激によって脳が覚醒しやすくなります。あわせて、就寝前のカフェイン摂取や飲酒も、眠りの質を低下させる要因のひとつです。
アルコールは一時的に寝つきをよくする場合がありますが、睡眠の後半で眠りが浅くなりやすいと報告されています。
カフェインについても、摂取から時間が経っても覚醒作用が続く場合があるため、夕方以降は量やタイミングに注意することが望ましいでしょう。寝る前の過ごし方を少しずつ見直すことが、睡眠の質を整える第一歩になります。
食事や栄養で睡眠リズムを支える習慣

生活リズムだけでなく、食事の内容も睡眠と関わりがあるとされています。特定の栄養素を意識した食生活は、内側から睡眠リズムを支える習慣のひとつになるでしょう。
無理のない範囲で、毎日の食事に少しずつ意識を向けてみることをおすすめします。就寝前の生活習慣とあわせて意識することで、より整えやすくなるでしょう。
睡眠リズムに関わる栄養を摂る
必須アミノ酸の一種であるトリプトファンは、体内でセロトニンの材料となり、その後メラトニンへと合成されることがわかっています。トリプトファンは、乳製品や大豆製品、魚介類などに含まれています。
メラトニンは、就寝前になると分泌が始まり、覚醒力を低下させて眠気を促すホルモンです。日々の食事のなかでこうした栄養素を意識することが、睡眠リズムを支える手がかりになります。
また、朝食を毎日できるだけ同じ時間に摂ることも、体内時計を整える習慣につながります。朝に光を浴びながら食事をすることで体内時計がリセットされ、夜になると自然な眠気が訪れやすくなるでしょう。
生活リズムと食事のタイミングをあわせて意識することも、睡眠の質を高めるポイントです。
毎日無理なく続けられるケアを選ぶ
食生活を整えることは大切ですが、毎食完璧なバランスを目指す必要はありません。忙しい日々のなかでも、無理なく続けられる範囲で工夫を重ねることが、習慣として定着させるポイントです。
生活リズムを整える習慣と、食事から睡眠を支える習慣をあわせて取り入れることで、内側と外側の両方から睡眠と向き合いやすくなるでしょう。
レム睡眠を理解して睡眠の質を高めよう

レム睡眠とノンレム睡眠は、それぞれ異なる役割を持ちながら約90分から120分の周期で繰り返されています。仕組みを正しく理解することは、効率よく体を休めるための第一歩になります。
睡眠サイクルの乱れは日中の眠気や集中力の低下につながる場合があるため、就寝前後の習慣を見直しながら、無理のない範囲で整えていくことが大切です。
原因がはっきりしないまま「なんとなく眠りが浅い」と感じている場合も、決して珍しいことではありません。
焦って完璧な対策を目指すのではなく、まずは睡眠の仕組みを正しく知ることから始めてみましょう。
就寝前後の習慣や食事の内容など、日々の生活のなかで無理なく続けられる工夫を積み重ねることが、質のよい眠りに近づくための土台になります。
睡眠の仕組みを理解したうえで、自分の生活に合う整え方を、少しずつ見つけていきましょう。
